淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

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2015’3月 小説
[No.1176] 2015-04-02 Thu 01:41
翻訳作品に偏った、らば、3月だというのに、今年一番本に恵まれた月を過ごしてしまったかもしれない。
クリティカルヒットが2冊も。幸せ…!
ただ、書き言葉のみならず話し言葉にまで読んでいる小説の影響を受けてしまう人間なので、会話の文法が妙になってたり単語のチョイスがおかしくなってたりしないかと、最近とても不安。変なこと言ってたら突っ込んでやって下さいお願いします(゚ー゚;Aアセアセ

※☆は迷走中です。後から変更するかもしれません。

__

「解錠師」 スティーヴ・ハミルトン 翻訳:越前俊弥 ☆4.3
八歳の時にある出来事から言葉を失ってしまったマイク。だが彼には、才能があった。

面白かった。読みごたえがあった。満足した!
ミステリというよりは青春&ハードボイルドもの。でも何よりも魅力的なのは解錠シーン。
学生か、20代前半あたりまでの若い人の方がより楽しめると思われ。


「停電の夜に」 ジュンパ・ラヒリ 翻訳:小川高義 ☆5
ロウソクの灯されたキッチンで、停電の夜ごと、秘密を打ち明けあう夫婦。
故国に残した7人の娘を案ずる植物学者をとおして、はるかに遠い人を思う気持ちを知った少女。他。
ボストンとカルカッタ、海を隔てた二都を舞台とした日常のドラマを描き出す9編収録、短編集。

素晴らしい。
人の心と心の距離を、間に走った亀裂を、それから逸らした目の揺らぎを、ここまで細やか且つ鮮やかに描写した本を、私は今まで読んだことがあっただろうか。
一番好きだったのは、ラスト収録の「三度目の最後の大陸」。
どの話でも主題が共通しているからなのか、読み終わった時、他の話まで全てを含めた長編を読んだような気持になった。
この本を読めて良かった。
夫婦という素材が多いので、新婚ラブラブではない既婚者に特に…って、独身の私が言っても説得力ないか。
エンタテイメントのようにオススメし易くはないけれど、オススメしたいと思える作品です。


「オリーヴ・キタリッジの生活」 エリザベス・ストラウト 翻訳:小川高義 ☆3.4
アメリカ北東部にある小さな港町クロズビー。一見何も起こらない町の暮らしだが、人々の心にはまれに嵐も吹き荒れて、いつまでも癒えない傷痕を残していく…。連作短編集。

ヘンリーが、ちょっとうちのお父さんに似てる気がしてな…。
だから、という訳じゃないけど、オリーヴの視点に重なりきれなかったのが敗因というか、うん、相性があまり良くなかった。
10年以上経ってから読めば、違うもう少し良い感想を持てるかもしれない。


「龍神の雨」 道尾秀介 ☆4.3
蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に遭わせたから。

面白かった!
途中、展開に少し読むのが辛くなったけど、いや道尾先生だからきっと最後光が差す筈…!て耐えて読んだ。
止めなくて良かった。
ミステリのネタバレしないよう内容については書かない。
ストーリーと別に、巧いなぁって思ったのは、兄弟で会話してるシーンで、兄がとあるサイズを「60m」と言ったのを聞いた弟が、頭の中で「50m走をした後に更に10m走る」距離だと想像して「あたりまえか」と付け加えるところ。
50m走が身近な弟の年齢に、具体例を考える真面目な性格、兄を慕い話についていこうと背伸びせずにはいられない、と同時にそういう自分を自覚しているが故の恥ずかしさへの誤魔化しと、たったの一文で人物像がきっちり出来上がる。凄い。


「天冥の標Ⅵ 宿怨PART3」 小川一水 
西暦2502年、異星人カルミアンの強大なテクノロジーにより、《救世群(プラクティス)》は全同胞の硬殻化を実施、ついに人類に対して宣戦を布告した。

「心底殺したいと思いながら、他のことをするべく悪あがきするのが、人間だと思います」(本文抜粋)
ってとこ読んでテンション上がった。ああもう、これだから先生の作品は…!好き!
シリーズ途中だし、先にハーブC読んじゃって終わり方は知ってるしで、☆はなし。


「卵をめぐる祖父の戦争」 ディヴィット・ベニオフ 翻訳:田口俊樹 ☆4.4
ナチスドイツ包囲下、飢餓にあえぐレニングラードで、青年たちは「卵」の調達を命じられた。
歴史エンタテイメント。

ん?映画化…してない、のか?映画の小説化?…でもないのか。ググってしまった。
人物や情景が映像として映えることを重視した描写、抑揚過多に耳から入ってこそ笑えるだろうセリフ回し、解り易くメリハリを利かせた山場、を繋ぐ移動シーンのショートカット具合と、小説という形をしているけれど、構成がとっても映画。
で、検索して知ったのだけど、著者が脚本家でもあるんですね。納得。
頑固に小説として読もうとすると少しだれる、けどクライマックスの引き込みが半端なくて、それでも楽しめる。
あー面白かった!
…ただ、自分がロシア文学詳しくなくて、教養がなくて、それで勿体ないことしたなぁってのは結構思った。
主人公と行動を共にする男が――この男はこの本の面白さのかなりの割合を担っているのだけど――口を開くと大体クソかファックか文学の話を始めるんです。
だから、ロシア文学がわからないと彼がクソとファックだけの男になってしま…じゃなくて、もっとわかれば小さな楽しみも重なっていったんだろうなぁ、って。
海外の名作といわれる作品は、読んでおくべきなのだろうなぁ…。


「冬の犬」 アリステア・マクラウド 翻訳:中野恵津子 ☆4.9
スコットランド高地の移民が多く住む、カナダ東端の厳寒の島ケープ・ブレトン。
役立たずで力持の金茶色の犬と少年の、猛吹雪の午後の苦い秘密を描く表題作。
孤島の灯台を黙々と守る一人の女の生涯…「島」
白頭鷲の巣近くに住む「ゲール語民謡最後の歌手」の物語…「完璧なる調和」
人生の美しさと哀しみに満ちた8篇収録、短編集。

美しかった。
堪らなく美しかった。
著者の全短編集「Island」の前半を収録したのが「灰色の輝ける贈り物」という本で、こちらは後半ということです。
書かれた順で読みたかった気もするけど、読んでしまったものは仕方ない。前半も読みます。
特に好きだったのは、上に挙げた3編と、最初に収録されている完璧といっていいだろう「すべてのものに季節がある」。
読んでいる間、生活の雑音も声も、全てが耳に届かなくなった。
「島」では、何が起こったのか、自分がどう感じたのか頭が理解するより前に涙が零れて、茫然となった。
息を潜めてページをめくり、読書の喜びを貪るように味わうことが出来た。
こういう本に出会えるから、私は本を読んでいるのだと思う。


「その名にちなんで」 ジュンパ・ラヒリ 翻訳:小川高義 ☆4.3
「ゴーゴリ」と名づけられた少年。言葉にしがたい思いがこめられたその名を、やがて彼は恥じるようになる…。

悩ましい。
視点が固定されておらず、何人かに移る形で進むのだけど、どの視点も平等の細やかさで描写されている為、全員が主人公になっていて、その公平さが互いの間を鮮明に描き出し、そこが一番素晴らしいところだと思うのだけど、同時に何だ、こう…全フレーズがサビの歌?のような、ハリしかないが故に平坦に感じられてしまうに近い勿体ない感が、…いや、視点絞ったメリハリきかせたエンタテイメントになっちゃったら悲鳴上げる気がするや、いいや!
映画化されてるので、レンタルで観ようと思う。サリーや料理の色彩にも期待。


「朗読者」 ベルンハルト・シュリンク 翻訳:小川高義 ☆3.5
15歳のミヒャエルが体験した初めての切ない恋。けれども21歳年上のハンナは、突然失踪してしまう。彼女が隠していた忌まわしい秘密とは…。

テーマがテーマだから色々と考えさせられる。それは非常に良いと思う。
でも文章が、翻訳だから?じゃないな、昔を思い出しながら語っている、というスタンスでありながら後からの解釈や哲学を混ぜながら綴られているので、とても読み難く、入り込み難い。
そして多分にマッチョな話なので、その…男性や年配の方の方が感動するのではなかろうか。


「メモリー・ウォール」 アンソニー・ドーア 翻訳: 岩本正恵 ☆3.6
記憶を自由に保存・再生できる装置を手に入れた認知症の老女を描いた表題作。
ダムに沈む中国の村の人々。赴任先の朝鮮半島で傷ついた鶴に出会う米兵、他。
「記憶」をめぐる6つの物語。短編集。

国、年代、主人公の年齢等、作品全部が見事にバラッバラ別物。わぁお。
…それぞれ良い作品だと思うのに、何だろうなぁ、何か…物足りないような。
何だろう、読ませるテンポ?パワー?読後感?
ちょっと今月、短編は目が肥えちゃってハードルが凄い上がってるのかも。


「火星の人」 アンディ・ウィアー 翻訳:小野田和子 ☆4.5
有人火星探査が開始されて3度目のミッションは、猛烈な砂嵐によりわずか6日目にして中止を余儀なくされた。だが、不運はそれだけで終わらない。火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが――。奇跡的にマークは生きていた!?

ハードSFなんだけど文章が軽く柔らかくユーモア溢れたエンタテイメント作品というレア物。
というか、無造作なエンタテイメントにガチなSF知識を混ぜたらうっかりナイスなバランスになっちゃった!て感じ。
だから凄くSFが好き!な人である必要がない。にわかファン未満でいい。広くオススメできそう。
でも敢えて挙げるなら、映画の「アポロ13」に興奮した人なら夢中になって読めます。保証します。
そういう私は夜読み始めて中断できずに徹夜するはめになって後悔はしてないけど深く反省中。何度目だ学習しろ馬鹿!クソ眠い!でも面白かった!時間ある時に読んだ方がいいぜ!
ちなみに、既に映画化が決まっていて、今年の11月に公開予定。
…どうなるかしら。基本火星で一人だし、絵はかなり地味になるような気がするのだけど…。


「パリ左岸のピアノ工房」 T.E. カーハート 翻訳: 村松潔 ☆4.4
記憶の庭から甦る、あの音。鍵盤の感触。どこでピアノのことを忘れてしまったのだろう?
パリの職人に導かれ、音楽の歓びを取り戻したアメリカ人著者によるノンフィクション。

この本を読むべき対象に対し、非常に分かり易く自らをアピールしてくれる題名であることに感謝と拍手を送りたい。
ストレートに、この題名に目を留めるような、ピアノを愛している人や、愛していた記憶のある人向け。
文章は極普通なので、そうでなければ全くオススメはしません、が、そうであるならば是非。
とても素敵な体験が出来るかもしれません。
私は数日かけて夜にちょいちょい読んだのだけど、2日目にはもう何年も出してなかったピアノ曲集を引っ張り出してBGMにしました。
ピアノへの愛が膨らみます。


「旅の終わりの音楽」 エリック・フォスネス・ハンセン  翻訳:村松潔☆3.8
1912年4月10日、豪華客船タイタニック号は、英サウサンプトン港から処女航海に出発。
船の楽士たちは、この航海のためにヨーロッパ7カ国から集まった。

タイタニック号の楽士という設定を使っているけど、メインは彼等のそれまでの人生描写。
長編というよりは連作短編のような読み心地。
基本幼き日から若かりし日の描写が厚いから、20代くらいまでの若向けかなぁと思ったりも。
ジェイソンと父親のシーンが、どこもキラキラ綺麗で素敵だった。


「灰色の輝ける贈り物」 アリステア・マクラウド 翻訳;中野恵津子 ☆4.6
生粋の漁師ながら自室で本を読みふける父親…「船」
一人で七人の子を育てあげた誇り高い祖母と死期を悟った孫…「ランキンズ岬への道」、他。
全短編集「Island」の前半8篇収録。

後半を収録した「冬の犬」と比べると、物語<私小説の色が濃い。
最も、著者の経歴を読んだ為にそう感じるのかもしれないが。
私的には上に挙げた2篇と、「秋に」という、馬を売る話が特に印象深かった。
…読み終えた翌日にこれを書いているのだけど、まだ余韻が引かない。
それどころか今になってさえ、胸に痛みとも熱ともつかないものが浮上してくる。
この感覚を、言葉にするのが難しい。
親が子を育てること。願うこと。親を見ながら育つこと。気づくこと。生きること。
たぶん、何度も読み返すだろう。良い本を読んだ。
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2015’2月 小説
[No.1174] 2015-02-27 Fri 22:11
※読んだ月ってだけで、発売日ではありません。


目安
☆1 : 不可。読んだ時間を返して欲しい
☆2 : 可。でも読まなくても良かったかも
☆3 : 良。普通に面白かった。
☆4 : 優。上手いor面白いor好き!読んで良かった!
☆5 : 秀。本との出合いに感謝!読まないでいたら損だった。

もう何度目かもわからん「評価方法をどうにかしたい病」発症中。
やっぱり自分の好き嫌いだけわめくより、その観点が入ってるとしてもオススメ出来るか否かを書きたいと思ってきた。
でも、面白さ≠巧さ≠オススメ度≠私好み、ってどうすればいいの。
どこを重視すべきなの。いつぞやみたいに分けるべき?あーもうわからん。
もっと明確な基準決めないと数字ブレブレになるじゃん意味ないじゃん。あーもうorz

__

「ギフト」 日明恩 ☆3.3
“死者”が見える少年。心に傷を負った元刑事。孤独に生きてきた二人が、死者たちの謎を解き明かす。

どうもこう…登場人物の特殊設定?的なものを読むと、つい引いてしまうのだけど、はていったいいつ頃からこの手の設定に苦手認識を持つようになったのかしらん。我がことながら少し謎である。
て、話が逸れた。
小話で締めつつ最後にまとめるタイプで、ちょっと泣きました。
私的には最初の小話が一番好きで…うーん、後ろにいくにつれだんだん面白くなくなってったような;
締めの話は、小話毎にしつこく引っ張って期待値上げた分だけ物足りなくなっちゃったのかなぁとも思えたけど。
いや、結構好きだったんだけどね?


「南の子供が夜いくところ」 恒川光太郎 ☆4.3
一家心中の運命から逃れた少年・タカシ。辿りついた南の島は、不思議で満ちあふれていた。

え、恒川先生なのに和製ファンタジーじゃないの!?と困惑しながらページを捲ったのは2編目まで。
南の島からでも、’あちらがわ’へスルっと入れてくる妙に感嘆。お見事。
各題名メモするの忘れたけど連作短編という形で、ホラーだけじゃない不思議話の詰め合わせ。
私的には、蛸漁で暮らす男性の話とラストの話が特に、頭の芯が冷える心地よい怖さで面白かった。
不思議を楽しむものなので、はっきりした起承転結、謎は全て解決してすっきり!ていうのが好みの人は読んじゃ駄目です。
…あれだ、世にも不思議な物語系が好きな人ならいける。


「秋の牢獄」 恒川光太郎 ☆3.5
11月7日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。この繰り返しに終わりは来るのか─。
表題作他2編収録、中編集。

ループ物かぁ…と、あらすじだけで避けてしまっていたのだけど、そろそろ先生の本は作者買い枠に入れつつあることに気づいたので、抗わず読んだ。
後悔してる出来事があったとか、どうにかして救おうとしてる命があるとか、そういう心臓が軋むような切実さのない唐突な日常ループ。だからか、主人公の行動にありえない筈のリアリティを感じられるループ。
食わず嫌いはいかんね。悪くなかった。
点数が低いのは、ラスト収録作品の読後感が悪かったから。素材は好きだったんだけどなぁ…。


「神去なあなあ夜話」 三浦しをん ☆2.3
三重県の山奥で、林業に取り組む平野勇気、二十歳。
神去村の起源、住人の暮らし、もちろん恋にも、ぐいぐい迫ります。

「神去なあなあ日常」の続編というか、番外編といった感じ。
ちょっと、文章が軽…柔過ぎて?読み進めるのがしんどかった。
日常が好きだった人へのファンブック、漏れ話的にざっと読むなら損ではないと思うけど、…んー、でも日常の面白さと比べるとさすがにこれはどうなんだろう。悩ましい。


「サンタ・エクスプレス-季節風 冬」 重松清 ☆4.4
1「あっつあつの、ほっくほく」、2「コーヒーもう一杯」、3「冬の散歩道」、
4表題作、5「ネコはコタツで」、6「ごまめ」、7「火の用心」、
8「その年の初雪」、9「一陽来複」、10「じゅんちゃんの北斗七星」、
11「バレンタイン・デビュー」、12「サクラ、イツカ、サク」
鈴の音ひびく冬が、いとおしい人の温もりを伝えてくれる。ものがたりの歳時記―「冬」の巻、12編。

「秋」飛ばして読みました。
冷たい紙面で指先を冷やしながら読めば、その分胸をじんわり温めてくれる、良質な短編詰め合わせ。
どれもあまり後に引かない、数日すれば記憶から薄れて消えるだろうささやかな話なのだけど、文章が確かで、読後感が優しくて、少し涙が浮いたりして、一遍を読み終わった時に「さて、頑張ろう」と日常に向える。
私は、特に1が好きだったかな。こういう本、大事だと思う。


「ほんとうの花をみせにきた」 桜庭一樹 ☆4.5
1「小さな焦げた顔」:少年「梗」を死の淵から救ったのは、竹から生まれた吸血鬼バンブーだった…!
2表題作:1の後、別の絆の物語
3「あなたが知らない国に行く」:1より前、バンブーの歴史的1シーン。

私は好きです。 私 は 好きです。 大事なことなので2度書きました。
特に1が、夜に読み終えて、翌日中ずっと、1のおかげですっごい幸せな気分でいられた。
「ムスタァ、僕のバンブー!」そうこっそり呟くだけで、気持ちがほかほか暖まった。
彼等が互いを見つめる眼差し、声、愛おしむとか、慈しむとか、そういう言葉が溢れて堪らなかった。
正直、人でない何かと人とが紡ぐ愛や、分かり合おうとする姿勢、というものに自分がかなり相当、滅法弱いと自覚してきたので、それを引いたらどのくらい面白いのかっていう判断には自信がない。
ていうかそれ以前に、そもそも物語の解釈が合ってるのかすら自信がない。
私にとっては、恥ずかしいけど1はほぼ恋愛小説だった。
しかも、基本恋愛小説って登場人物を外から眺め読むスタンスでしか読めなくて、主人公に共感同調しながら相手に恋するように読む、なんて滅多に出来ない私が、ちゃんと梗ちゃん視点でムスタァにメロメロになった。
文章は、結構薄いなぁって思ったけど、映画を見るように一気に読める勢いが良かったからいいかなぁと。
映画といえば「インタビュー・ウィズ・バンパイア」を連想した。似たシーンあったし。

あと3も結構好きだったけど、辛くって。3の結果が、末路が1なのかと思うと本当辛くって悔しくって。一番後引いてるのは3です。
どうか彼に、彼女の言葉を思い出して欲しい。
「知識があれば、恐怖することもなくなる!」「私たちはいま、無知に殺されようとしているの」
彼女にとって信念だったろうこの言葉を思い出すことが出来たならば、1の彼等の在り方は彼女の信念が正しいのだと証明すらしていたのだと、法とは別の大切なものもあるのだと気づけるのではないか。それは彼の心を救わないだろうか。

あ、1、2、3と、一気に連続して読まずに少し時間を空けて読むことを薦めます。私は特に、1と2は2日は空けるべきだったと後悔したので。余韻が違過ぎる。


「閉ざされた庭で」 エリザベス・デイリー 訳:安達眞弓 ☆2.3
アポロ像の庭飾りや太陽神信仰など、いかにも怪しげな雰囲気の中、バラ園で殺人が起こった。しかも探偵ガーメッジの目の前で! そこには大いなる遺産をめぐる争いが…。

探偵ガーメッジの9作目、らしい。
何で読んだんだろう。


「ばけたま長屋」 輪渡颯介 ☆3.2
女の幽霊が出るという長屋に引っ越してきてしまった指物師の弦次は、同じ長屋の先輩住人の三五郎、町絵師の朔天とともに、さまざまな幽霊事件に巻き込まれる羽目に…。

軽い。幽霊物なんだけど全く暗くなく、あまり怖くもなく、暇つぶしにすいーっと読める。
好みの問題かとも思うが、ちと味がなさすぎやしないか。事件の度にお約束の文章がでるのも…あ。
そうか、これホラーじゃなくて長屋物、時代小説として読むべきなのか。
分かり易いキャラクターにお約束の行動、文章は疲れない密度で毎度のオチ、て長編シリーズの時代物って思えばすごく納得。読み方を間違えた、失敗。


「政と源」 三浦しをん ☆2.4
弟子の徹平と賑やかに暮らす源。妻子と別居しひとり寂しく暮らす国政。ソリが合わないはずなのに、なぜか良いコンビ。そんなふたりが巻き起こす、ハチャメチャで痛快だけど、どこか心温まる人情譚。

たまたま硬めの文章読みたい気分の時にうっかり軽いものばかり続けて読んでしまって辟易、ていうタイミングの悪さもあると思うけど、でもこれ読むなら先生の他の作品再読でもした方が良いと思う。
悪い話ではないんだけど、凄く物足りない。文章が薄い。
ついでに私は主人公タイプの男性が、何ていうか、無理だ。残念。
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2015’1月 小説
[No.1173] 2015-02-12 Thu 20:26
※読んだ月ってだけで、発売日ではありません。


「坂木司リクエスト! 和菓子のアンソロジー」  ☆4
1、「空の春告鳥」 坂木司
2、「トマどら」 日明恩
3、「チチとクズの国」 牧野修
4、「迷宮の松露」 近藤史恵
5、「融雪」 柴田よしき
6、「糖質な彼女」 木地雅映子
7、「時じくの実の宮古へ」 小川一水
8、「古入道きたりて」 恒川光太郎
9、「しりとり」 北村薫
10、「甘き織姫」 畠中恵

好きな作家さん多いわ、テーマ和菓子だわ、本を見た瞬間に棚から引っこ抜きました。
一番好きだったのは8。昼間に読んだのに夜の空気を感じた。
こんな短くて何で見事に世界観に引きずり込めるんだろう。しかも和菓子死んでないし。恒川先生本当素晴らしい。
9も好き。この話絶対この先、登場した和菓子の名を聞く度に思い出すと思う。
柔目な文章の作品が多かったから、最後から2番目というところで硬目の文章がシュッと締めたのも具合が良かった。「背筋の伸びる話」というあとがきに深く同意したい。
それから2も好きだった。読後感の良さと、主人公の性格の作り方が巧いと思う。
日明(「たちもり」と読むのだと初めて知った)先生の作品初読だったから、他の探して読むつもり。
ラスト10で可愛らしく甘く締められて、良かった。


「ふたりの距離の概算」 米澤穂信 ☆3.9
〈古典部〉シリーズ第5弾。
春を迎え2年生となった奉太郎たちの古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げる。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は走りながら彼女の心変わりの真相を推理する!

アニメ化されたトコはアニメで楽しんだから良いということにしようかと思って、されてないとこを読んでみた、のだけれど、どことなく薄暗いのに言葉回し軽快で読み易い文章が割と好きなので、アニメ化されたトコも期を見て読むつもり。
…正直、話どうこうより声優さんの凄さを感じた。
他の登場人物は大丈夫だったけど、奉太郎の一人称の文章だけはイメージ別に作れなくて、全部中村さんの声めいて再生されて謎の敗北感。
いや好きなのだが。


「遠まわりする雛」 米澤穂信  ☆4.2
〈古典部〉シリーズ第4弾。

そんな訳で読んだ。
当たり前なのだがアニメで描写しきれなかったとこがある訳で、ちゃんと楽しめた。
順番前後しとるが、まぁ他も読むかもしれん。
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2014’8~12月 小説
[No.1164] 2014-12-14 Sun 01:02
リアルで色々あって有り過ぎて頭パーンしてた。
メモ残してなかった本は感想飛んだ、どころか存在忘れて抜けてるかも。
もう訳がわからん。


「僕たちのミシシッピ・リバー 季節風 夏」  重松清
忘れられない一瞬を焼き付けた夏が、今年もまたやってくる。ものがたりの歳時記―「夏」の巻、12編。

春に続いて、よー泣いた。泣かされた。
悲しい話や感動する話、というのではなくて、郷愁が刺激されてほろっとくるタイプ。
読者の経験と全く同じ出来事が書いてある筈もないが、誰もが何がしかの思い出が連想させられるに違いない。
私が一番泣いたのは「べっぴんさん」。おばあちゃーん。゜゜(´□`。)°゜。


「まともな家の子はいない」  津村記久子
父親がいる家にはいたくない。セキコは苦しかった。母親はうざく妹はテキトー。世の中にまともな家はあるのか。怒れる中学3年生のひと夏の物語。
と、連作2篇収録。

子供の方が怒りが強く、後にも残る気がする。
怒りの描写がちょっと読むのがしんどい位だったけど、読んで良かった。
主題とは逸れるけど、友達と宿題の答えを見せ合う、という行為をしてこなかったことが悔やまれた、というか恥ずかしいとすら思った。自分の頭のガチガチさ加減を反省したい。


「金色の獣、彼方に向かう」 恒川光太郎
①「異神千夜」②「風天孔参り」③ 「森の神、夢へ還る 」④表題作。
ダークファンタジー4編。

この、世界感のバランス!絶妙。好き。
異界ではなく、異界との境界の感触を意識させる感じがたまらない。
個人的には③が一番好きだったかな。素材は②が好き。
①は女性より男性の方が好きそう。


「やりたいことは二度寝だけ」 津村記久子
検索が生きがい。文房具集めとハーブティーで日々を潤し、からあげ王子に想いを馳せ、ドラクエで自分の20年を振り返る…。
脱力系エッセイ。

そうか、こんな方なのか。
小説で必ず何かしら心の固くなったところを少し溶かしてくれるというか、力を抜かせてくれるさり気無い優しさのような細やかなのに無造作な感触が好きで好きで、エッセイにまで手を伸ばしてみたのだけど、そういった部分を意識して、その為に書いてるのだとわかって驚いた。
て言ったら失礼か?正直物凄く意外というか、そうか練って構成して造れるのか、と目から鱗が落ちる気分というか。
思いかけず文房具集め(特にノートへの愛と、しかし買ったところで使うことが出来ないというくだり)に共感したりといった喜びもあって嬉しかった。


「琉璃玉の耳輪」 津原泰水 (シナリオ:尾崎翠)
「三姉妹を探して下さい。手掛かりは、三人とも左の耳に、一粒の琉璃玉が嵌った白金の耳輪をしています」

阿片窟の女傑・女掏摸・生人形の少女・男装の麗人・旅芸人一座・変態性慾の男・老刑事・放蕩の貴公子…
とまぁ、詰め込み具合が半端ない、が、きっちり味があって面白い。
時代物の群像劇が好きであれば楽しめるのではなかろうか。


「ウエストウイング」 津村記久子
職場の雑事に追われる事務職のOL・ネゴロ、単調な毎日を送る平凡な20代サラリーマン・フカボリ、進学塾に通う母子家庭の小学生・ヒロシ。
取り壊しの噂もある椿ビルディング西棟の物置き場で、彼等は互いの顔も知らぬまま物々交換を始める…。

息を吐ける。
特殊ではない、非常にありふれた日常を綴った話によって、ほんの微かなのだけど、救われるような心地になる不思議。
「とにかくうちに帰ります」とか、他の本とのネタ被りはあったけど、大事なのはそこじゃないし、いいんだろう。


「古道具屋 皆塵堂」
「猫除け 古道具屋 皆塵堂」
「蔵盗み 古道具屋 皆塵堂」
「迎え猫 古道具屋 皆塵堂」 
 輪渡颯介
奉公先を盥回しにされたあげく、弟の急死で実家を継ぐことになった太一郎。彼には、幽霊が見えるという秘密があった…。
憑きものだらけの怪談人情ミステリー。

あんまりお約束な舞台にキャラ設定と揃えてるから、寧ろ引いてたんだけど、読んだら何かすみませんでしたって謝りたくなった。
軽いけど丁寧な文章で、私的には畠中恵のしゃばけシリーズよりも好きかな。
皆塵堂を舞台に、一冊づつ主人公が変わります。
私は一冊目主役の太一郎さんがとても好き。だからついつい登場を待ちわびてしまうのだけど、彼が出ると解決してしまうから簡単に出して貰えないのも解る。うぬぅ。
このまま軽くなり過ぎないで続いていってくれるといいなぁ。


「天冥の標VII 新世界ハーブC 」 小川一水
男性24905名。女性27339名。成人1029名。残存人類、52244名。
“救世群”が太陽系全域へと撤いた冥王斑原種により、人類社会は死滅しようとしていた。

シリーズものは途中でどうこう大して書けないからメモ止めよう、て思って止めてたら買い忘れて読む順番間違えた。不覚。
Ⅵはパート3まであるんだ、気づけ、抜くな私。くそう。
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2014’7月 小説
[No.1162] 2014-08-06 Wed 22:54
手堅いトコばかり読んだとはいえ、今月は全部読んで良かった。楽しめた。


『鏡の花』 道尾秀介
製鏡所の娘が願う亡き人との再会。少年が抱える切ない空想。姉弟の哀しみを知る月の兎。曼珠沙華が語る夫の過去。少女が見る奇妙なサソリの夢。老夫婦に届いた絵葉書の謎。
ほんの小さな行為で、世界は変わってしまった。それでも―。

昔テレビでやってた、世にも奇妙な物語?だったかを少し連想した。
ほんの小さな行為で何かが欠け、それが欠けなければ他の何かが欠け…といった様相が不条理を感じさせ、読み進める程に読者は「何の欠けもない完全な世界」を期待するに違いない。だからえらく評価が分かれるんじゃなかろうか、とこれ以上はネタバレになるかな。
私は好きです。
本を閉じて、日常へ戻って家族の顔を見た時、うん、これも1つの奇跡だ、頑張ろう、って思えた。
光差す方へ背中を押してくれる最終章だと思います。


『別冊 図書館戦争Ⅰ』
『別冊 図書館戦争Ⅱ』
 有川浩
シリーズ番外編。

え、まだ読んでなかったの!?
てツッコミを受ける覚悟は出来ております。はい、そうです、読んでなかったです。
てかぶっちゃけ忘れてた。完っ全に忘れてた。
図書館で見かけて思わず「あ」って声出しちゃった。
出た頃にラブコメ読む気分じゃなかったんだ、たぶん。
でも今なら全然オッケー!てことで読んだけど、久しぶりだったし想定以上のラブコメでギャー!ってベッドでジタバタした。
何だこいつら可愛いなちっくしょう!爆ぜろ!ていうのは勿論主人公カップル。
本編でまとまりきらんかった分柴崎の方は応援気分というか、…Ⅱの展開マジでヒデェな。最後書き足すよう促した旦那様グッジョブだと思います。
幸せになれよーう!って、本の中の登場人物に思えるんだから、良い作品よね、本当。


『誰も知らないわたしたちのこと』  シモーナ・スパラコ (訳:泉典子)
不妊の末に授かった息子には、出生前診断によって重大な疾患が発見された―選べるはずのないことを選ばされ、孤立感と絶望のあいだを揺れ動く35歳のフリーランス・ジャーナリスト、ルーチェの魂の彷徨。
ローマ賞受賞。イタリア最高の文学賞・ストレーガ賞最終候補作。

これ、ちょっと、凄いです。
おススメしたい。
解説に書かれているけれど、この視点の小説って存在、希少なのではないだろうか。少なくとも私は今まで読んだことがなかった。
イタリアと日本と、法律の違いや宗教の違いがあるから、そういう部分での共感は少ししずらいかもしれない、でもそんなんどうでも良い、と言い切れるだけのパワーがあるし、考えさせられる。
話の間にフォーラムに書き込まれた文章等の引用があるのも効果的で良いと思う。一部抜粋する。
「あなたたちは中絶に反対なのですね? そうですか、それはわかりました。でもあなたたちには、他人の痛みを少しでも配慮する気がありますか?(略)あなたたちは病気の胎児は殺さなかったかもしれないけれど、言葉の暴力で毎日わたしたちを殺しているのです」


『ツバメ記念日―季節風 春』 重松清
わたし、お母さんのおひなさま、捨てたくない…。
記憶に刻まれた"春"は、何度でも人生をあたためる。憧れ、旅立ち、別れ、幼い日の母の面影──温かい涙あふれる12の春の物語。

春は過ぎたが、来年の春また忘れるかもしれないし読んだ。次は夏。
12編、短いのに感動させてくれるし泣かせてくれる。
でも、ほんのりとした温かみを残してスッと消えてくれるから、後を引かない。
…。
読み終えてから書くまでに時間あいちゃって詳細が書けない言い訳じゃないですよ、ホントです←


『贖罪』 湊かなえ 
15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
娘を喪った母親は彼女たちを呼び出し言った―あなたたちを絶対に許さない。

それぞれが一方的に「語る」という書き方が同じだから、『告白』と比較されるのは仕方がないと思う。
それに倣って比較で感想を言うならば、『告白』の方が面白いけれど、『告白』よりも私は好きだ。
特に、とある行為の是非に加え、被害者と加害者、というポジションを印象付けてからの麻子の語りが凄く良いと思う。
単純に、なんっだこの女…!と読者を怒らせきらせて終わらせない、煮え切らせない部分の作り方が曖昧で不愉快で好みです。
どいつもこいつも自分ルール自分正義で生きている、という当たり前のことを極端に暴走させて、読後感ぐるぐる考えさせるのが著者の作品の魅力だと思うので、多少の鮮やかさ明快さは犠牲にしてももっとやれと個人的には…いや、それじゃ売れないか。


『ポースケ』 津村記久子
芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』から5年後の物語。
奈良のカフェ「ハタナカ」でゆるやかに交差する、さまざまな女の人たちの日常と小さな出来事。

『ポトスライムの舟』を読んでなくても読めます。
毎度お馴染み、だいたい30代の働く女性向。
極々普通の一喜一憂する日常の中、温かく柔らかく、あるいは全く不意にするりと、小さな小さな悩みや拘りが溶ける。
そんなこともあるかと思えて、それで良いのだと思える。
救われると言ったら大げさかもしれないけれど、日常に対するやる気が出ます。
先生の作品大好き。
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