淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

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2014’5月 小説
[No.1152] 2014-06-03 Tue 22:34
読みたい、が時間がない。
正直未読の山がないと不安になるのだけど、増え過ぎても焦っていけない。
うっかりそのへんで交通事故にでもあってみなさいな、まだあんなに読みたい本が…!って悔いが残り過ぎて成仏できませんがな。
図書館や本屋に憑いて、借りたり買ったりした人についてって後ろから覗き込む?
速読の人だったらうっかりポルターガイスト発生させて抗議するかもしれん。「早いよバカ!」迷惑な悪霊!
いや待てポルターガイスト起こせるんなら自分でページ捲れるんじゃん、オッケー解決!
と、いうようなことを高校生のあたりからずっと考えてる気がする。人間変わるけど変わらんね。呟いて星空を見上げる。

__

『婚礼、葬礼、その他』 津村記久子
1、表題作…友人の結婚式に出席中、上司の親の葬儀に呼び出されたOLヨシノのてんわやんわの一日。
2、『冷たい十字路』

題名見て一瞬、マナー本?って思ったけど小説でした。そらそうか。
先生は葬式書くのが上手いなぁとか前に思って書いた(『八番筋カウンシル』だったかな)覚えがあるもんで、今回がっつり舞台じゃんよとちょっと笑った。
んで同じ感想です。やっぱ上手い。職場関係ってカテゴリ違うから飽きることもないし。
あとヨシノの心中の言葉選びが痛快っていうか共感出来すぎて何度も噴いて笑ったり、切なくなったり。
例えば、ヨシノをてんわやんわさせてくれた原因である、タイミング悪く亡くなった上司の親の遺影を見たとこなんか凄く好き。
「おまえか、と呟きかけてやめ、(略)遺影を撮影して、後で結婚式の参加者たちに、こいつです、と見せて回ってやりたくなったが、そんなことをして職場での立場を危うくすることも癪だったので、(略)できればあと一日でも持ちこたえてくれれば、いい人でしたと送り出して差し上げたのに。いや、おたくのことは全然存じ上げませんけどですね。」(本文抜粋)
怒りと恨みを晴らす想像を脳内で繰り広げつつも、冷静に現実を見て断念して、でもやっぱ理不尽だよ何でこんな葬式来ないかんのよと苛立って、という波が、本人大真面目だからこそコミカルで、それと同時に、笑い話にしてしまいたい、こんな怒りを引きずりたくないという奮闘でもあるんだろうなぁと頷ける。
舞台は葬式ですが、読後感良いしおすすめです。ストレートに、30前後の働く女性向。
あ、2はちょっと、最後「え、終わり!?ここで!?」て驚いたけど。

ところで先生ってぐぐってみたら私の5歳上なんだな。
ちょっと遅れで作品追いかけてる現状、素晴らしく運が良かった、私は恵まれている。
小説も追いきれてないけど、エッセイも読みたいー。時間が足りないー。


『リレキショ』 中村航
「弟と暮らすのが夢だったの」という姉さんに拾われて、彼女の弟となった19歳の「僕」。
第39回文芸賞受賞作。

もしかしたらラノベ並か、それより軽いんじゃないかな、文章。
ペライってより、テンポが軽やかっつーか。物足りなく感じないとは言わないけど、でも貶す意味じゃないです。軽さを好んで書いてるように感じたから。
難しい言い回しや語句が皆無で、地の文まで無造作な話し言葉的で文節が短くて。
ぶっちゃけ、図書館で手にとって、借りようかなぁ、て考えるつもりでソファに座ってめくってたら読みきってしまったのだよ。
1時間かかってないんじゃないかな…文字の多い漫画一冊並みか?まさか^^; 
現代が舞台なんだけどリアリティが薄くファンタジー的な不思議な感触で、本当にあっさりさっくり読めて読後感は良いから、休憩時間とか息抜きには良いかもしれん。
姉さんとその親友のカラッとしたキャラは好きだった。


『たまさか人形堂物語』
『たまさか人形堂それから』
 津原泰水
祖母の形見の零細人形店を継ぐことになった澪は、押しかけ従業員で人形マニアの冨永くんと謎の職人、師村さんに助けられ、なんとかお店を切り盛りしている。「諦めてしまっている人形も修理します」という広告をみて、今日も傷ついた人形を抱えたお客さんがやってくる…。

ウェーイ!先生の作品の中ではおススメし易い気がするぜウェーイ!
ミステリ要素の面白さも良い感じなんだけど、人間関係がかなり楽しい。そっち主体に楽しんじゃってもいいと思う。
現実で行動を共にする時間が長いと、色んな面で互いに影響を受けたり、互いへの気持ちが変化したりするじゃない。でもそういうのって、劇的なものは別として、ささやかなもの程、あんまり本の中では見れない気ぃするのよね。それがこの本では散見されて、だから余計に人物の会話のやり取りやスタンスに説得力があるというか。
特に好きなのは、苛立った澪が冨永の机へ乱雑にお茶を置き、いくらか溢してしまったシーン。
慌てて走って台拭きを取ってくるけど、冨永は澪が覚悟していただろう粗相に対しての皮肉や文句ではなく、澪が今朝拭き掃除をした窓について一言、感謝を伝える。
「湯呑みの底を、茶托を、作業台を、私は一つ一つ丁寧に拭った。」(本文抜粋)
固有名詞に読点を短く刻んでストンと読む速度落とさせて、且つ一つ一つと言葉を重ねたたったこれだけの文章で、澪の丁寧な手付きや力加減だけでなく、胸に広がる感情さえも想像させられる、とても良いシーンだと思う。どう思った、ていう解説が一切地の文にないのが本当良い。人が誰かの人物像や自身の気持ちを改めるのって、こういう些細な出来事によると思うんだ。
…いや、ここだけ抜き書いても伝わらないか。うぬぅ。
抜粋したのは『それから』の方。続編なんだけど『それから』の方が面白いです。まだ続くのかな?なら追っかける。束前さん良い男だ。澪さんとくっつくがいい。

__

番外。
小説じゃなくて散文集で、堀江敏幸先生の『回送電車』を読み始めて1年以上経ちますが、未だページの半分程までしか読めていません遅々として進みません。
一体全体どうなっているのかと思う。先生の脳内。
語彙が豊富で、引用される小説多くて(書評多いから当然か)、文章整然と美しくて泣きそうになるし、笑わせてくれるし。
辞書を引く為に一時休止、引用作品調べる為に一時休止、文節をメモる為に一時休止、そもそも読解力が足りなくて繰り返し読むこともあれば、単純に素敵な文章だから読み返すことも何度もあるし・・・。
図書館基本2週間しか借りられないんですよー。だから借りては返し、借りては返し。いい加減買えよという話だけど。いつかきっと買います絶対。でも今棚に置く場所がないんだもの・・・!
じゃなかった違う話逸れた!
読んだ中に、「梗概について」という文章が正続2編ありましてですね。
とある本について「私のようにまとまりのない頭では、この奥深い文章の勘所をおさえることなど到底できそうにない」だの、梗概のことを「自身の足場が不安定な者は永遠に手控えるべき、恐ろしく繊細な感性のリトマス試験紙なのである。」(本文抜粋)だの書いてある訳でして、こう・・・その・・・先生の意地悪・・・!・゜・(PД`q。)・゜・ 諧謔めいて書いてらっしゃるんだろうとは思うけども、でも先生の域でそんなん書いちゃったらもう、私みたいなブレブレ人間にゃとんだ羞恥プレイだってことなんてわかっちゃいるけど人にオススメしたいんだよぅその時の感想を残したいんだよぅと、顔面を覆って懊悩して、いやいやでも私まとめてはいない、うん、書いてるのは感想であって梗概じゃない、いいじゃんいいんだよ開き直ろうぜ、好きな個所や理由紹介くらいだっていいじゃないか、と自分を誤魔化し気力を奮い立たせて書いている訳ですが、本当羞恥プレイだなちくしょうとジタバタしてます。
ねぇ足場ってどうやったら固められるのかな?人に聞いてる時点でダメか。ダメだ。

あ、と。そういえば庄野潤三先生の『メジロの来る庭』(随筆?)も丁寧な美しい日本語で、読み始めてもうじき1年コースに入ってます、がこちらはゆっくり読む文章なのでこれで良いと思ってます。たまに図書館で10分程ページをめくるだけで、自分の余裕のなさや視野の狭まりに気づけて反省と共に肩の力を抜くことができる、特効薬ではなく暖かいコンソメ野菜スープみたいな胃に優しい言葉たち。大好き。

本っていいなぁ。
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