淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

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2011’7月小説メモ②
[No.1012] 2011-08-01 Mon 22:30
■ 2011’7小説メモ② ■

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※ ☆について、今更ではありますが、ざっくり基準だけ決めときます。
  あくまで私的なオススメ度ですので、ご承知下さいませ。

☆1 :読まない方が良いヨ。(読んだ時間を返して欲しい)
☆2 :オススメはしないかなぁ。(読まなくても良かったかも)
☆3 :読んでも損にはならないと思う。(可。普通に面白かった。)
☆4 :読んでみません?(良。良作。読んで良かったー!)
☆5 :お願い読んで!!!(優。本との出合いに感謝!!!)

あと中間とか、相対的にとか、小数で上下させます。

基本的に☆2より大きい数字ならプラス評価て思って下さい。
私は凄い好きだけど薦め難い!とか、嫌いだけど一般的には好かれそう!とかは☆3前後になるかと。
それと、これは!という作品に出合った時の為、これからは☆5は簡単に出さないようにします。

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・「スモールトーク」 絲山秋子 ☆3.3
自動車雑誌に連載された、車を題材にした連続短編とエッセイ、徳大寺有恒氏との対談収録。

車好きじゃないとわからない用語が多々あり、興味のない人は引くかもしれない。
でも主人公ユーコ(画家、外車好き)と元彼カマキリ(次々車を替えてユーコの元へ訪れる)の会話のテンポや、さっくりばっさりな車評が面白くてサクサク読める。
短編とエッセイが交互に入ってる形態になっている為、文体の違いに対応する為読む速度を調整する必要があって、それが頭の休憩と整頓になってくれるのも良い感じ。
読み終えてから数日、見慣れない車をまじまじ見たりしました。


・「ニート」 絲山秋子 ☆3
1「ニート」…ニートにお金を渡す
2「ベル・エポック」…引っ越しの手伝い
3「2+1」…1のニートを居候させる
4「へたれ」…へたれな男
5「愛なんかいらねー」…唐突にスカトロ

1と3はつながってる。他は別の話。
コレちょっと感想も説明も困るなぁ。嫌いではないんだけど。
1と3は、ニート、という言葉でイメージされるだろう話ではないです。
説明できない感覚と関係を感じ取ってもらおうって書いた感じな。うーん;
2はちょっと好きだった。他は普通かな。
スカは読む分には割と好きなんだけど、5はあんまり。
話のメインがスカて訳じゃないんだけど、結構描写多いんで、苦手な人は御注意下さい。


・「夜市」 恒川光太郎 ☆4.5
1、妖怪たちがさまざまな品物を売る不思議な市場。小学生の頃売った弟を買い戻す為、大学生になった兄は…「夜市」(第12回日本ホラー小説大賞)
2、幼き頃、迷子になった時に教えてもらった不思議な道、子供心に人に言ってはいけないと思っていたが…「風の小道」

漫画の「百鬼夜行抄」や「雨柳堂夢咄」あたりが好きな人なら好きだと思う。
その一歩手前、あちらとこちらの境界線をちょっと踏み越えた雰囲気。
ただ、そのあたりまで読んでる人だと1は結末を予測できちゃったりするかも、私は予測ついてしまった;
それでも、雰囲気のある情景描写もストーリーも素敵で、是非夏に読んで頂きたい。
私は1<2で好きだったかな。でもどっちも良いです。


・「万引き恋愛記」 ねじめ正一 ☆2.9
万引き被害に苦しめられる商店街、民芸店の主人とアルバイトは、犯人候補の帽子の女を今日も見つめる…。

夕方やってる人情系のミステリドラマとかが好きな人なら好きなんじゃないかな。
主人公の性格が程よく正義感あり狡さありナルシズムありで、男性や年配の女性向かと。
私には微妙に、主人公が癇に障ったり、全体的に煮え切らなかったりですっきりしなかったけど。
商店街の描写は面白かった。


・「義弟」 永井するみ ☆4.1
義理の姉弟、彩と克己は成人し離れて暮らす今も仲が良い。ある日、彩の不倫相手が彼女の職場で急死する。助けを求められた克己は、彼女を守るため遺体の処理をするのだが……。

切ないなぁ。
最近恋愛小説は私的に外れが多かったから、素直に応援したくなる二人に会えて嬉しかった。
弟の内面をどう見るかが印象値を左右する鍵だと思うので、義理の姉弟へのタブー感が平気か云々より、親からの支配やモラハラといったものの辛さや、解放の難しさを理解又は共感できそうな人に薦めたいかな。
すれ違う感情がきちんと別人で男と女で良かったと思う。
私は好きだった。


・怪談集「花月夜綺譚」 ☆4
1、 「溺死者の薔薇園」 岩井志麻子
2、 「一千一秒殺人事件」 恩田陸
3、 「一節切」 花衣沙久羅
4、 「左右衛門」 加門七海
5、 「紅差し太夫」 島村洋子
6、 「婆娑羅」 霜島ケイ
7、 「ついてくる」 藤水名子
8、 「水神」 藤木稟
9、 「長屋の幽霊」 森奈津子
10、「長虫」 山崎洋子

夏はやっぱ怪談ですね。
耽美に魅せるのが1、5。
ちょっとコミカルで面白いのが2、6、9。
他は定番な感じかな。涼しくなったのは4と8かしら。
背筋の凍るほど怖い、なんて話はないけれど、どれも雰囲気あるし楽しめます。
6と9キャラが立ってて好きだったなぁ、シリーズ化して一冊別に出して欲しい感じ。


・「カソウスキの行方」 津村記久子 ☆4.8
1、カソウスキ=仮想好き。倉庫勤務に左遷されたイリエは、日々のモチベーションを上げようと同僚の森川を‘好きになった’ことにしてみる…「カソウスキの行方」(第138回芥川賞候補)
2、気になった男性が結婚したこと知り、相手女性のブログを読むようになる…「Everyday I Write A Book」
3、遅刻の多い彼女の不義理ポイントをカウントし、相殺を試みる…「花婿のハムラビ法典」

1の主人公が27歳独身彼氏無し事務系正社員、というクリティカルヒット、だからといってリアリティないと逆にイラッときそうなもんだけれど、そのあたり全く問題ない、というか人物の描写造形が自然で上手く、設定通りにストンと入り過ぎて驚く程。
私の同級生や先輩後輩、働くオヒトリサマ女性にオススメです。

この本で3冊目だけれど、津村先生の作品は、とにかく働く女性に優しいんだな。
別に応援だ鼓舞だ称賛だのっていういらんこと一切なしに、ただそのまま描写して無造作に隣へ座るような感じが良い。
ちょうど読むのに良い年齢なようだし、早めに著書全部読もうと思います。


・「水の時計」 初野晴 ☆4.4
医学的に脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできなくなった彼女が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった―。
「幸せの王子」の寓話ミステリ。第22回横溝正史ミステリ大賞。

単行本の装丁が雰囲気あってとても素敵だ、けれど綺麗過ぎる気がして手にとっては戻していた、私がバカだった。
最後に載っている選評に書いてある通り、難点を上げだすと、結構ストーリー甘いところがあるし、人物の、特に主人公の内面が薄く、下手したら中2て言われちゃうのかもなギリギリなチートっぷりがあったりとか色々キリはないのだけど、それでも良点が相殺されない。
文章の勢いとストーリーに引き込まれてガンガン読めて、泣いた。
無理だけど、高校生卒業までに読みたい感じだったなぁ、自分と他人の境界がまだちゃんと引けてない頃に読めば、主人公の薄さがカバーできた気がする。


・「赤い竪琴」 津原泰水 ☆3.5
三十歳を過ぎ、仕事への希望も見出せぬまま、東京で一人虚無的な日々を過ごすデザイナーの暁子は、祖母の遺品をきっかけに耿介という男と知り合う……。

あれ?え?コレもしかして恋愛小説……だった!吃驚!
思い返してみるとストーリーの主軸もラストもきっちり恋愛小説だった、けど、さらりさらり美しい文章そのものの印象の方が強くて、うっかり恋愛小説て気づかない感じ。
先生の怪奇小説が好きでコレ読むか迷ってる方いたら、全く問題ないです普段の文章です、読んで下さい。
現代の普通の場所を描写してるのに何でこんなに幻想的なんだろう。解せんわー。
てな感じに、私は文章そのものが好きで読んだ口で、特に遺品(詩人の手記)のページが美しくて朗読して楽しんだりしてましたが、恋愛小説として楽しみたいならば、30代半ばあたりからの女性に沁みるのではないかと思われ。
あと、当然ですが、怪奇小説の背筋の冷える感覚やインパクトはないで、そっちは期待したらダメです。


・「すいかの匂い」 江國香織 ☆4
1「すいかの匂い」、2「蕗子さん」、3「水の輪」、4「海辺の町」、5「弟」、6「あげは蝶」、7「焼却炉」、8「ジャミパン」、9「薔薇のアーチ」、10「はるかちゃん」、11「影」、
以上11篇、11人の少女の夏物語連作短篇集。

江國先生て恋愛ものしか読んだことなかったから、目から鱗だった。
恋愛ものよりずっと面白じゃないか!←失礼?
無難でも印象深い思い出たちが、良い具合に心を引っ掻いて揺さぶってくれる。
女性なら何処か何か必ず、それで蘇る記憶があったり、共感が出来るのではないだろうか。
難点は、少女の内面描写の書き分けが全然ないから、家族設定等読み飛ばすだけで主人公全員同じ子に思えちゃうこと。
まぁそれでも特に問題はないんだけど。
私は3の、蝉の声にまつわるエピソードが好きだったかな。


・「鬼の跫音」 道尾秀介 ☆4.5
1「鈴虫」、2「ケモノ」、3「よいぎつね」
4「箱詰めの文字」、5「冬の鬼」、6「悪意の顔」
ホラー且つミステリの短編集。

下手な説明文つけるとネタばれになる気がするんで何も書かない。
先生の作品はハズレがないなぁ、面白かった。
でも先生の作品の中にもっと好みで面白いと思うものが沢山ある、が故にちょっと物足りなく思った、何て言うとさすがに贅沢か;


・「しずく」 西加奈子 ☆3.7
1、「ランドセル」…幼馴染2人
2、「灰皿」…老婦人と若い小説家
3、「木蓮」…30代女性と恋人の娘
4、「影」…旅行者と島の少女
5、「しずく」…飼い主が結婚して共に住むようになった2匹の猫
6、「シャワーキャップ」…母と娘
それぞれ女同士を描く短編集。

感覚的な表現が多い一人称で、苦手なタイプの文章だったのだけど、ストーリーが良くて気が付いたらきっちり引き込まれて読んでた。
文章も好みの人なら堪らないんじゃないかなぁ、小川洋子先生の粘着性を引いてもちょっとざっくりした感じか?
一番好きだったのは5で、最初なんじゃこりゃってザーッと読み飛ばしてたのに、ラスト涙が出た。


・「タンノイのエジンバラ」 長嶋有 ☆3.8
1、「タンノイのエジンバラ」…団地住まいの失業者と、世話を押し付けられた隣家の女の子
2、「夜のあぐら」…久しぶりに会う3人姉弟と病気の父親、義理の母親
3、「バルセロナの印象」…姉と妻と3人旅行
4、「三十歳」…30歳パチンコ屋アルバイトの女性

淡々とした日常に、ほんのりとした感情の揺らぎ。良かった。
エンターテイメント性のない、ローテーションな純文学系好きな方向け。
けど、もう5年は経った頃が読み時だったかなぁ。
私は4が一番好きだった。
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コメント
毎月楽しみ♪
今回も参考になるレビューだよ!
ありがとうw
江國さんは大好きな作家さんですが、
本によってずいぶん印象がかわるというか。

この日記読むたびに「活字読もう」って思うwww
[No.1466] 2011-08-02 Tue 00:47 | URL | Naomi #-[ 内容変更] | top↑
ありがとうございます!
内容を殆ど書かない微妙レビューですが、役に立ったら幸いですe-449

ほうほう、どうも江國先生、同じ印象の本を続けて読んで思い込みしちゃってたようですね。
別の本も読んでみますw
というか、Naomiさんのオススメを教えて下さいi-189

読みましょう×2、そして素敵な本があったら是非私にオススry

今回は「カソウスキの行方」のディテールが素晴らし過ぎて、その後読んだ本の登場人物全員薄く見えてしまう弊害が出る程でした。
勢いなら「水の時計」がぶっちぎり、丁度良いテンポと雰囲気作りで「夜市」、大穴が「しずく」、という感じでオススメです。
小説って、良いですよねぇ…e-266
[No.1467] 2011-08-02 Tue 13:03 | URL | カラ #BxQFZbuQ[ 内容変更] | top↑
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