淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

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2013’9後半 小説メモ
[No.1121] 2013-09-30 Mon 23:00
■2013’9後半小説 メモ■

※読んだ月ってだけです、出版月ではありません。
☆1~5ザックリ評価


・「月の上の観覧車」 萩原浩 ☆4
大切な誰かの面影は、いつも後悔の記憶の中。短篇集。
1「トンネル鏡」2「金魚」3「上海租界の魔術師」4「レシピ」5「胡瓜の馬」
6「チョコチップミントをダブルで」7「ゴミ屋敷モノクローム」8「月の上の観覧車」

泣いた。
一番泣いたのは8だけど、2の狂気と3のロマン、7の痛みも印象深かった。
8篇あるだけあって、キーワードが各話ところどころ被ってるのが、人物の価値観を寄せてしまうようで微妙だとも思うのだけれど、そのおかげて連作みたいな雰囲気になっていて、そうしてみると、表題作がラストで見事まとめていて良のかなとも云々。
1篇が短いから手軽に楽しめると思います。おすすめです。


・「ディアスと月の誓約」 乾石智子 ☆3
魔法使いが二つの月を引きずりおろし、その力で地をなした王国<緑の凍土>。
伝説の獣の角に支えられた儚きその国に生まれた少年は…。

結末がちょっと私的にはモヤッと。でも面白かった。
ファンタジー好きさんなら損にはならんと思う。


・「ちぎり屋」 蜂谷涼 ☆4
繁栄にわく小樽の街の片隅にあるおもんの店で、1杯の酒とともに語られる「問わず語り」。
北の街の小さな居酒屋「ちぎり屋」では、今日もまた、わけあり者たちが、心に溜めた想いを語っていく。

居酒屋が舞台なのだから予想すべきだった。
枡酒、ぬる燗、熱燗、ビール、なーんて注文が飛び交うもんでまぁ、とにかく飲みたくなる!
おもんの料理の描写も細やかなものだから、これをツマミに飲んだら、さぞ…!と途中身悶えしてしまった。
と、そんなとこから書き出しましたが、別に飲食メインのグルメ話ではありません。
料理だけでなく、各登場人物の描写が秀逸で、ストーリーもしんみり胸にくる。
時代小説ファンじゃなくても楽しめると思います。おすすめです。


・「おぼろ月」 谷村志穂 ☆3
20代半ばあたり、恋愛短編集。
1「キャメルのコートを私に」2「青い空のダイブ」3「タヒチアン・ダンスで会おう」
4「おぼろ月」5「夜の虹」6「二人と犬の子」7「夜の街には、お砂糖がある」

結構好きと思える話もあったのだけど、でも全体的に寂しい印象。
切ないではなく寂しい。ただ、寂しい。
恋愛物ならば温かさや優しさがもうちょっと余韻に欲しい私には少々辛かったよ。
月の綺麗な夜に読んだせいか?


・「コオロギ岳から木星トロヤへ」 小川一水 ☆4
西暦2231年、木星前方トロヤ群の小惑星アキレス。いっぽう2014年、北アルプス・コロロギ岳の山頂観測所。
21世紀と23世紀を“つないで”描く異色の時間SF長篇。

帯に‘小休止’‘さっくり読める’‘コミカル版の『時砂の王』’何て書かれてるのだけど、まさにその通り。
連載中のシリーズで頭大混乱&息切れしてたので、めっちゃ良い息抜きになりました。
軽くさっくり笑って読みました。面白かった!
ただ先生、先生お願いです、腐女子は勘弁して…本当勘弁して下さい、何ていうか恥ずかしいです本当許して下さい、そこは絡めないで入れないでお願い、死ぬ、恥ずか死ぬ。そっとしといて下さい先生ぃいいいorz


・「ココデナイドコカ」 島村洋子 ☆3
30歳前後、恋愛短編集。
1「密閉容器」2「むらさき」3「偽妻」4「代用品」5「事情通」
6「当て馬」7「嘘恋人」8「数字屋」9「幸福」

軽ーい一人称でさらーっと読める、が、怖い。
何ていうか、怖くて薄ら寒い話が多い。
特に印象に残ったのは4だけど、主人公よりも男性に凄い共感した。
母親が主人公タイプなんだよね…一緒にいるの辛いよね…って;
いっそのこと、ホラーと思って読んだ方が楽しめたかもしれん。


・「蛍火」 蜂谷涼 ☆4
女一人、すべての汚れをひきうけて、心をこめて染みを抜く。
「ちぎり屋」と同じ町、「染み抜き屋」おつるの話。

文句なく読み応えあって面白かったのだけど、登場人物1人早く死ねよこの男、と本気で苛立って疲れた。
人物の描写が巧すぎるのかもしれん。


・「残り全部バケーション」 伊坂幸太郎 ☆4 
夫の浮気が原因で離婚する夫婦と娘。ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として見知らぬ男とドライブすることに…。
5章構成の連作、小さな奇跡の物語。

軽くて無茶苦茶なんだけど面白い。そこが良い。
ラストはブラックバードと同じ系統。


・「猟犬探偵」 稲見一良 ☆3 
「セント・メリーのリボン」に登場した、迷い犬捜し専門のアウトロー探偵・竜門が遭遇した4つの事件。

「セント・メリーのリボン」が素敵だったから読んだのだけど、これは何てんだろ、ハードボイルドにふわっとファンタジーが混ざったような感じだった。
いや、「セント・メリーのリボン」もそういう傾向ないこともなかったけど、何だろう割合の問題なのか?えらい印象が違った。
これはこれで良かったんだけど、如何せんハードボイルドを期待して読んじゃったものだから…うぅ、失敗した。


・「海松」 稲葉真弓 ☆2
志摩半島の一角、小さな湾近くの傾斜地。そこに土地を買い、家を建て、改めて、自分と現実のすべてについて、新しい生の感覚を見出そうとして暮らす。川端康成文学賞受賞の表題作他、「光の沼」「桟橋」「指の上の深海」。

好みかタイミングかわからんがとにかく、合わなかった。
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2013’8・9前半 小説メモ
[No.1119] 2013-09-11 Wed 13:24
■2013’8・9前半小説 メモ■

※ 読んだ月ってだけです、出版月ではありません。
※ ☆1~5ざっくり勝手に評価、☆3が普通




・「光ってみえるもの、あれは」 川上弘美 ☆3
16歳の男子高校生が、奇妙な大人たちに取り囲まれながら、自身も大人へと変容していく過程を描いた青春小説。

てことらしいけど青春成分はそんなにない、のらりくらりな日常小説て感じ。
引用の詩や俳句がちょっとハッとする、場面にあった後に残るもので、読後そっちの作者をぐぐったりした。
地の文にも、ところどころ表現の巧さや独特の味に感嘆したので、読んで良かったなぁとは思ってる。
ただこれ、主人公の内面というか視点の言葉選びというか文体というか、総じて女性の感性そのもの過ぎるように思えて、どうにも男子高校生の話として読めない感が。
まぁ、私所詮女しか経験してないし、わっかんないけどさー。


・「バイバイ、ブラックバード」 伊坂幸太郎 ☆4
星野一彦の最後の願いは何者かに“あのバス”で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語。

太宰先生好きで伊坂先生も結構好きな身としては読まないではいられない帯の紹介文(上記2段目)だった訳で。
といっても正直「グッド・バイ」読んだのだいぶ昔で詳細覚えてないからちゃんと比較出来ないんだけど、詳細覚えてなくとも太宰の主人公って皆基本同じ色じゃない?
主人公星野はきっちりほぼその色と近い色だったんですよ。もうちょっと一匙分卑屈さや狡さに自覚的で矮小な感じになればジャストじゃね?てくらいの近さ。伊坂先生凄いな!
それでいて書き下ろしのラストは絶対太宰先生は書かないだろうと思える伊坂先生らしい緊張感に、希望を感じさせる結びで素敵でした。
ただ、太宰らしいというか伊坂先生らしいといいうか、設定や謎ってものが全てきっちり説明、されません。
私は気にならないというより寧ろそこが好きなんだけど、例えば20世紀少年を読み続けたのはともだちが誰かを知るためだった、というような、謎を最重要事項にする人には絶対に向きません。


・「人形を捨てる」 藤堂志津子 ☆4
こうした今でも、私は「物語」をつむぎ続けている。少女の日、かなわぬ願いを託した、愛着も執着もあるあの人形たちを捨ててしまった今でも…。それぞれ色合いゆたかに「私」自身を見つめた13の短篇集。

たぶん4・50代女性がジャスト読み手。でも女性なら何処かしら引っかかる箇所があると思う。
ほぼエッセイなのかと考えるくらい、感情を削いだ読み易い文章で、さらさら読めるのに、胸にぽつぽつ沁みを作って且つ溶かしてくれる。
母と娘のよくあるのだけれど複雑で何とも説明の難しい微妙な感情、関係が冷静に書かれていて、ちょっと切なくなったり。
書庫のシーンで主人公の胸に飛来した言葉には、自分の部屋で本を読んでいた私も、思わず本棚に目をやってしばらく茫然としてしまった。


・「風をつかまえる」 高嶋哲夫 ☆4
北海道の破綻寸前の小さな町。起死回生の町おこしとして、町の小さな鉄工所が「風車」造りを押しつけられた。

これは酷い、と言いたくなる冒頭数ページの薄っぺらい適当な会議で決められた「風車」造りがどうなるのか、気になって読み進めずにはいられなかった。
父と息子の関係だとか、学生時代の仲間だとか、結構ド定番というかお約束な話の進みなんだけど、そんでもちょっと途中泣いた。


・「調律師」 熊谷達也 ☆3
ピアノの音を聴くと「香り」を感じる「共感覚」をもつ調律師、成瀬の喪失と再生を描く連作短編。

丁寧に着実に紡がれていた物語に、突然現実が突っ込んできてガッタガタになった。
あとがきを読んでなるほどそれは、と納得したが、だがしかし当初想定していたという物語のラストも読んでみたかったと思わずにいられない。
予定にない変更であるからこそのリアルさや怖さは勿論あったのだけれど、6章からの、作者の想いは別の話として一冊がっつり描いて頂いて、それぞれ別の話として読みたかった。


・「チューバはうたう」 瀬川深 ☆4
ならば、私が、吹いてやる。
第23回太宰治賞受賞作の表題作他、書き下ろし「飛天の瞳」「百万の星の孤独」2編。

面白い。
独白がかなり長いのだけど、それが何とも理屈っぽくて言い訳がましくて熱くて、愛おしいのだ。
チューバでなくても何でもいい、少々マイナでなモノが好きな人なら、読んでもぞもぞするのではなかろうか。
そしてラストの疾走感が凄い。
気が付いたら終わっちゃってて、ここで終わり?続きはないの!?と無駄にページをパタパタしてしまった。


・「八番筋カウンシル」 津村記久子 ☆4
会社を辞めたタケヤス。家業を継ごうと考えはじめるヨシズミ。地元の会社に就職するも家族との折り合いが悪く、家を買って独立したいと考えるホカリ。
それぞれの人生の岐路を見つめなおす物語。

主題一本をはっきり追わないからぼんやりした印象になってるけど、面白かった。
寄り道でも、先生のディテールの細かさには本当感嘆する。
他の本でも書かれてたことあった、田舎の葬式の暴力的といってもいいような空気とか、場面がくっきり目に浮かぶ。滅茶苦茶上手いと思う。
皆、子供の頃に抱えた怒りをずっとずっと消せないまま生きてるんだよなぁ、って。
当たり前だけど、さて頑張ろう、という気持になる。
個人的にホカリが気になって仕方がないので、主人公にして一作書いて欲しい。
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