淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

2011’10小説メモ
[No.1036] 2011-11-06 Sun 21:30
■2011’10小説 メモ■

※読んだ月ってだけです、出版月ではありません。
※偶にどこかのサイトににほぼ同内容のレビューがありますが、単純に本人です。
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オススメ目安 (私的好み評価)

☆1 :読まない方が良いヨ。(不可。読んだ時間を返して欲しい)
☆2 :オススメはしないかなぁ。(可。でも読まなくても良かったかも)
☆3 :普通。損はしない、かと。(良。普通に面白かった。)
☆4 :読んでみません?(優。上手い!面白い!読んで良かった!)
☆5 :お願い読んで!!!(秀。本との出合いに感謝!読まないでいたら損だった)

※ あくまで私的なオススメ度ですので、ご承知下さいませ。
  あと中間とか、相対的にとか、小数で上下させます。

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・「叩かれる父」 勝目梓 ☆2.7(2.3)
1「悲しき口笛」、2「余命」、3「初夜」、4「痩せ我慢」、5「十八年」、6「遺影」、7「叩かれる父」
定年退職、悠々自適?逃げ切ったなんて、とんでもない。夫婦の関係、子供の成長。まだまだ先は長い。それでもいまを、これからを生きていく。短編7編。

がっつり壮年の男性向け。だから私に合わないのは仕方がないのかな、とも思ったのだけど、でもストーリーより、どの話も毎回、この人はどう生まれ何の職について~と説明が入るのが一番の萎える原因だった気が。
まぁ5の、妻が夫のアレに話しかけるのには笑ったし、7にはホロリとくるとこもあったからいんだけど。


・「禁断のパンダ」 拓未司 ☆3.0(2.6)
新進気鋭の料理人と、人間離れした味覚を持つ料理評論家が覗き見た闇とは?
第6回2008年『このミステリーがすごい!』大賞受賞

ミステリーとしては全く楽しめない。
タイトルがどう生きるのかなぁ、進化に絡ませるのか?と気になって読んだのだけど、割と早い段階でその謎が語られる上に思った通りの使い方で、ついでに動機も犯人もオチも解ってしまう;
料理や味の描写の巧さと、何人かのキャラの魅力、会話のテンポや言葉選びの面白さで読む感じ。
何となく青山刑事好きだったな。


・「星のしるし」 柴崎友香 ☆3.0(3.1)
UFO、占い、家族…30歳を前にした会社員・果絵と周囲の人々をつなぐ、いつくもの見えないしるし。

淡々と進む完全な日常小説。なのに、視覚的な描写が最初から最後までこれでもかと多く鮮やで、ずーっと映像が浮かびっぱなし。
そういう試みなのかな?それとも他の本も、基本的にこういう文章を目標として書いてるのかしら?珍しい。
この文章がドストライク、って人がきっといると思う。文章を楽しむタイプの人は一読の価値有りかと。
ただ、映像が鮮明に浮かぶが故に、ちょっとした破綻による違和感(何一つ持たずにでかけて、どうやって買い物したの?とか)が所々目につき易いところが残念。
そして、起伏がほとんどないので、ストーリー重視の人には全く向かない。


・「ころころろ」 畠中 恵 ☆4.2(4.2)
しゃばけシリーズ第8弾。

何の迷いもなく全く振りかえらずに走っていった子、を見る彼の気持ちを思うと切なかった。
こうシリーズ長くなってくるともっとぼんやりした話が増えてもおかしくないと思うんだけど、印象的なシーンをきっちり入れてくれるから飽きないんだろうなぁ。
ちょっとミステリ調に雰囲気変えてあって新鮮だったけど、オチが分かり易すぎてオチきれない感だけ残念;


・「きみはポラリス」 三浦しをん ☆3.6(3.4)
初恋、禁忌、純愛、結婚、信仰、偏愛、同性愛…恋愛系短編集。

………普通、かしら。うーん;
悪かないんだけど、十分に読めるし楽しめるんだけど、でも私、先生の作品でこれ初めて読んでたら、他の本を手にとるまでに時間空いて勿体ないことになったと思う。
小説といえば恋愛物!て人でもない限り、他の長編の本を薦めたい。パワーが違う。
あ、でも、私がそもそも恋愛物あんま求めてないからってだけかも?;;


・「唇のあとに続くすべてのこと」 永井するみ ☆2.2(2.6)
平穏な日常は他の何にも代え難い、はずだった。1人の男の死をきっかけに、人生は動き始める―。
恋愛サスペンス。 不倫もの。

岸の気持ち悪さに「いーやーっ!」て叫んだ。うぞぞぞぞっと鳥肌が。うへぇ。
岸だけでなく、美保子にしても主人公にしても、思考と行動が気持ち悪い人ばかりである。
それでいて、あーいるよねって人たちで、そういう意味では、人物造型が巧くて良い。
でも、元同僚に惹かれる、ていう主軸の部分が伝わってこないから、主人公の進む方向にずっと首を傾げながら読み進める感じになった。私に共感どころがなさすぎるだけか?
ちょいセレブ思考な、昼ドラ好きな人向かしら?でも人に薦めたい話ではないしなぁ;


・「魚舟・獣舟」 上田早夕里 ☆4.6(4.7)
現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わり…1「魚舟・獣舟」
2「くさびらの道」 3「饗応」 4「真朱の街」 5「ブルーグラス」 6「小鳥の墓」
以上SF六編。

表題作の1が素晴らしい!
SF好きでまだ読んでなかったら勿体ないですよ、ファンタジー好きでもきっと楽しめる、読んで下さい!
私が大して冊数読んでないからかもですが、ああ○○みたいなやつね、って他のSF作品が全く思い浮かばなかった。
完全に、初めて出合う‘異形’だった。それでいてストーリーも勢いもある。
読み終えて、思わず厚みを確かめて、え、この量でこの読み応え!?って驚愕。
いやーもっと早くに手出せば良かった。先生の他の本も読もうw


・「肝心の子供」 磯崎憲一郎 ☆3.8(4.4)
ブッダ、束縛という名の息子ラーフラ、孫のティッサ・メッテイヤ。人間ブッダから始まる三世代。
第44回文藝賞受賞

小説は割とジャンル問わず雑食っていう私と似たタイプな人、読んでみませんか?
どういう系、と分類し難いが故に、誰かの感想を聞いてみたいです。
私はさ、ちょっと凄いと思ったんだよ、文章。上手いって言い切るには迷うのだけど。
雰囲気が独特で、何というか……や、他の本読むまで保留にしたい。ちょっと印象を決めかねる。
他では見ない印象のブッダたちです。


・「Nのために」 湊かなえ ☆4.0/4.1
それぞれがそれぞれの「N」を思うことで、殺人事件は起こった。
あれから十年、事件の真相を明らかにしよう─。

面白いんだよなぁ。
先生の作品の、さらっと読みやすい癖のない文章できっちり感動を構成で作ったぞっていう、何だろう、非常にそつの無い印象とでもいうのかが、私はどうしてもほんの少しイラッとしてしまうことがある、のに面白いんだよなぁ。あー悔しい。
所々登場人物の書き分けをごそっと減らして、これ誰?て混乱させるくらいに、彼らが同じ目標へ向かってるかのような心は一つというような錯覚を誘いながら、内心の意図や考え方が全然違う、どこまでも別人だって突き放してきっちりざっくり書き分けみせるとことか本当上手い、あー悔しい。見事。
だけど人にはやや薦め難い。


・「小太郎の左腕」 和田竜 ☆3.9/3.6
1556年。戦国の大名がいまだ未成熟の時代。勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉家の両雄は、もはや開戦を避けられない状態にあった。後に両陣営の命運を握ることになるその少年・小太郎のことなど、知る由もなかった―。

ちょっと残念。エンターテイメント時代小説っぷりに磨きが。
人物の魅力を、説明調の修飾語を多く使うことで語る方法が、時代小説を読み慣れていない人には優しい、のだとは思うけど、私にはちょっとしつこ過ぎたというか、手抜きに思えたというか。
や、面白かったし楽しめたんだけど。
「のぼうの城」の方がもっと薦め易いし面白い、て思っちゃったので辛口です、すみません。


・「ばかもの」 絲山秋子 ☆3.6/3.4
気ままな大学生と、強気な年上の女。恋愛長編。

身内や友人にアル中がいる人、いた人はちょっと注意。けっこう描写があって辛いかもです。
私は辛かった、というか痛かったというか苦しかったというか。
主題の恋愛の部分よりそっちに持って行かれてしまった;


・「仏果を得ず」 三浦しをん ☆4.7(4.7)
文楽に情熱を傾ける若手大夫の奮闘を描く青春小説。
健は大夫の人間国宝・銀大夫を師匠にもつ。ある日師匠から、技芸員から「変わり者」と噂される三味線、兎一郎と組むように言われ…。

友達にオススメしてもらって読んだ。面白い!
興味のある人は勿論、文楽?なにそれ美味しいの?って人でも何の問題もない筈です、読んで下さい!
しをん先生の小説の何が良いって、職業やスポーツ等、登場人物が打ち込む対象を好きで大切で堪らない!って気持ちがこれでもかと伝わってくるところだと思う。
だから、ただストレートに応援する気持ちになって楽しめるし、同じように対象を好きになれる。
まんまと、文楽鑑賞いってみたくなりましたw


・「ヤンのいた島」 沢村凛 ☆4.3(4.7)
幻の生物を探しに、菱島を訪れた瞳子。政府軍とゲリラが戦う島、自然に恵まれた豊かな島、どちらが現実の世界なのか…。
第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。

ファンタジーの舞台を使った、見事な現実の寓話。
始めのうち、文章の読み難さと主人公の身勝手さに苛立って失敗したかと思ったけれど、ぐんぐん引込んできた。
どうすれば良いのか、どうしていれば良かったのか、頭を使わされ、手に汗握り、ヤンの魅力にくらっとしながらも、島の未来を祈るような気持ちで読んだ。
……ので、読み終えてから長いこと放心した。真っ白になった。
きっと、ラストを批判する人は多いだろう。確かに、真剣に時間をかけて読んだ物語の辿りついた結末としてだけみれば「そりゃない」と言いたくもなる。私も一瞬そう思った。
けれど、この小説を現実の寓話として、著者が込めたであろう思いに、読者は絶対に気づいた筈で。
解り易いハッピーorバッドエンドによって、‘終わったお話’にする気はない、しないでくれ、‘まだ貴方に出来ることがある筈だ’という、現実を生きる読者への戒めと呼びかけと救いが、このラストなのだと思う。
読んで良かった。


・「子供の一生」 中島らも ☆3.0(2.3)
瀬戸内海の小島に、サイコセラピーのために集まった5人の男女。薬の投与と催眠術を使った治療で、彼らの意識は10歳のこどもへと戻ってゆく…。
B級ホラー。

友達からオススメ&貸してもらって読んだ。…のだけど、ごめんなさい。辛口です。
登場人物の内面を、カルテと診療で‘こんな人’、と提示紹介する他の描写がほとんどない。
人物描写だけでなく描写が全般的に少ないので、小説ではなく、台本か脚本だと思って、ストーリーのみを追って読んだ方が楽しめる。…なんぞと思っていたらば、あとがきを読んで納得。脚本をノベライズしたものとのこと。
オススメ&貸してくれた友人が演劇をやる人で、人物の動きを頭の中で補足することに長けているのだと思われるので、同様に、提示されたキャラ設定に添った動きや心理を想像することが得意な人、又はストーリーで読むタイプの人向けかと。
文章を楽しむタイプの人は、地の文が3行程+ほぼひらがな表記の会話文、といったページと戦う覚悟が必要です。
…B級映画は大好きだし、映像で見てみたい作品だったな。
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