淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

2011’9 小説メモ①
[No.1021] 2011-09-27 Tue 12:36
■2011’9小説メモ①■

※読んだ月ってだけです、出版月ではありません。
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オススメ目安
☆1 :読まない方が良いヨ。(読んだ時間を返して欲しい)
☆2 :オススメはしないかなぁ。(読まなくても良かったかも)
☆3 :読んでも損にはならないと思う。(可。普通に面白かった。)
☆4 :読んでみません?(良。良作。読んで良かったー!)
☆5 :お願い読んで!!!(優。本との出合いに感謝!読まないでいたら損だった)

※ あくまで私的なオススメ度ですので、ご承知下さいませ。
  あと中間とか、相対的にとか、小数で上下させます。
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・「八月の路上に捨てる」 伊藤たかみ ☆3.9
暑い夏の離婚話。他一遍。
第135回芥川賞受賞。

離婚、という言葉で想像されやすいだろう、夫と妻とのどろっとした話ではない。
仕事をこなしながら、離婚を控えた主人公(男性)が同僚の年上女性にそのことを話すという形で、実際結婚生活を追って見たかのように、離婚に至るまでの過程原因心の動きが良く解るし納得できる巧い文章に、気取りのない自然な言葉選びな会話で読みやすい。
…のだけれど、何だろう、読み終えて感想書くまでにうっかり数日経ってしまったらば、あんまり残ってるものがないようだ。
いや、印象に残ってるシーンも言葉の選びもあるし同僚女性も気持ちが良い性格で描写上手いなぁって思ったんだけど…うーん、巧いからこその物足りない感か?
決して軽い訳ではないけど、サラリと読みたい時向けか。


・「いっちばん」 畠中恵 ☆4.5
「しゃばけ」シリーズ第7弾。

再登場を予感させていた脇役が出てきたり、奥行きが広がった感あり。
でもおなじみの妖たちが若だんなを喜ばせようと奮闘する表題作の「いっちばん」の可愛らしさがそれこそいっちばん!


・「ワーカーズ・ダイジェスト」 津村記久子 ☆4.8
重信:東京の建設会社勤め。奈加子:大阪のデザイン事務所勤め、ライターの副業あり。
偶然出会った2人は、年齢、苗字、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく…。他一遍。

うん。何かもう、もう、うん、先生ありがとうございましたっ!!!
長編だからかな?他の本より少しローだなぁ、何て思いながら読んでいたのだけど、でも他の本と同じでやっぱきた。
涙が勝手にぶわりと浮く、堪らない瞬間。しかも後追いまでじわじわ来る。読み終えてからだいぶ泣いた。
先生の本は本当に本当に、働く人に優しい。
特別な人やストーリーを描いている訳じゃくて、普通に一生懸命働いて、抜くトコ抜いて頑張っている人を描いているのだけど、その‘普通’の所々のディテールが凄過ぎて、一冊読む毎に、一人友達や知り合いが増えるような気さえする。
友情とも愛情とも違う関係、までも行かない繋がりの優しさが良いです。
ジャスト32歳がベストに違いないけど、でも±5歳まで、働いてる女性へ自信を持ってオススメできる。オススメしたい。
私は今28歳だけど無問題に心に沁みた。
…あー、すっかり先生のファンになってしまったなぁ。


・「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」 江國香織 ☆4.1
全10編、恋愛系短編集。
第15回山本周五郎賞受賞。

各タイトルメモっとくの忘れた;
「犬小屋」が一番怖かったし、後に残った。
読んでから3日経っちゃってそれ以外は忘れたけど、どれも結構良かった筈。
サラリと読みたい時向け。


・「末裔」 絲山秋子 ☆2.9
ある日家へ入ろうと鍵を持ったら、差し込む先に有る筈のカギ穴が消えていた。
誰もいない家から閉め出された定年前の男は、漂泊を続けながら、幸せの日々、本当の教養などに思いを巡らす…。

残念。読むにはちょっと早かったというか、あまり合わなかった。
長編な分抑え気味に書いたのか主人公の年齢に合わせたのかもしれないけど、他の作品にあるような鋭さ潔さが形を潜めてぼんやりした感じ。
あと、実は先生男性を書くのは苦手なのかしら?なんて思ってしまった。
主人公の中年男性が、ああいるよなぁこういう人、と思える性格や行動なのだけど、どうもそういう風に思え過ぎるというか、女性視点で構成された男性らしさとでもいうかが、だから解り易いのだけど違和感を感じてしまって…って、男性が書くこれでもかと男性らしい男性を気持ち悪!とかばっさり切って捨てる私が言ったら駄目か;


・「神去なあなあ日常」 三浦しをん ☆4.2
林業っておもしれ~!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う…。

林業っておもしれ~!!!
勿論こんなに現実は甘くないだろってわかってるけどさ、三浦先生はちゃんと解って敢えてこの物語を書いてるってことも感じられるから嫌な気分にはならない。心地良い甘さと爽やかさと。
中学・高校あたりの課題図書になると良いと思うよこれ。
働くこと将来のビジョンってのを考える契機になれる本だと思う。単純に面白いってのもあるし。
そんで林業従事者が増えるかってーとまた別問題だろうけど、でも山火事は減るかも?w


・「私の家では何も起こらない」 恩田陸 ☆3.3
血の海となった台所、床下の収納庫のマリネにされた子どもたち…幽霊屋敷と噂されるその家にすむ女流作家は、居心地のよいこの家を愛している。
ホラー。

抽象や感覚に対する好みが変わってきたということなのか、やっぱり高校時代ほどハマれないなぁ。
小タイトル1つ目はちょっと好きだったかな。でも怖いとは違うよなぁ。
まぁ先生は作品によって差があるし。別の本をまた読もう。


・「晩鐘 続・泣きの銀次」 宇江佐真理 ☆3.8
十手と鑑札を返上し、岡っ引きから足を洗って十年。小間物問屋の主として細々と暮らしていたある日、銀次は監禁されていた娘を助ける。「下手人を捕らえるため手を貸して欲しい」と言われた銀次は…。

10年後設定、変わる人と、変わらぬ人と。何とも切ない。
が、銀次ってキャラの魅力は変わらない。
ありえないけどさ、もし私がこの時代で生きてて家族が…なんてことになったら、銀次さんに担当して欲しいよ。
身も世もなく泣いて欲しい。
その時故人に何か思うところあっても、良い感情ばかりじゃなくっても、つられてちゃんと泣ける気がする。託せる気がする。
泣きの設定だけじゃなくて、結構しっかり「何でここ女房の気持ちわからんかねー!?」とかもどかしかったり欠点もあるんだけど、それでもこの人になら、と思わせる絶妙な人物造型。
あと一冊続編出てるらしいので、それも読むつもり。


・「風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記」上・下 小川一水 ☆4.7
父親と対立して、辺境に追いやられた若き騎士ルドガーは、赴任した領地でカエサルと古代ローマを知っているという、不思議な街の守護精霊「レーズ」と出会う。二人は中世ヨーロッパの海に面した三角洲に、今までなかった街「レーズスフェント」を作り、帝国自由都市を目指す…。
SF設定使用の中世歴史ファンタジー。

やっちまった。
続きが気になるからって電車の中で読み進めてクライマックスを迎えてしまった。
先生の長編作品を好んで読む方なら承知だろうが、「ああ、このシーンを、この感動を書きたかったのか! これを味わう為に私はこの本を読んできたのか!!!」と雷に打たれて覚醒するかのような最高に素晴らしいその瞬間を中断させるなんて出来なくって、降りる駅に着いたのも無視して2駅乗り越して、ハンカチで嗚咽を抑えて泣きまくりながら読み切る羽目になった。
本当やっちまった。(向いに座ってたおじさん、本当にすみませんでした;;)
読む際は是非、気を付けて下さい。ハードカバーなら後半、文庫なら下巻は家で読んでください。
ファンタジー?SFじゃなくて??って迷ってる方、ちょっと路線違くても先生の作品です、読んでください。
正直、先生の作品ならリアル路線のSFか、SF設定使用の仕事系の話の方が好みだしやっぱり巧いとか偉そうに思ってしまう私ですら、多少の甘さは感じたものの、上記の通り引きこまれたし感動しましたので、食わず嫌いはいけません(本当偉そうですみません)。
あー、でもこれで未読の先生の作品は昔のだけになっちゃったなぁ…落ち込んだりやる気なくなった時用の最終兵器として1冊はとっておきたいんだよなぁ…新刊早くでないっかなー待ってます、全力で待ってますよ小川先生ーっ!!!
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2011’8小説メモ②
[No.1019] 2011-09-03 Sat 23:58
■2011’8小説メモ②■

※読んだ月ってだけです、出版月ではありません。
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オススメ目安
☆1 :読まない方が良いヨ。(読んだ時間を返して欲しい)
☆2 :オススメはしないかなぁ。(読まなくても良かったかも)
☆3 :読んでも損にはならないと思う。(可。普通に面白かった。)
☆4 :読んでみません?(良。良作。読んで良かったー!)
☆5 :お願い読んで!!!(優。本との出合いに感謝!読まないでいたら損だった)

※ あくまで私的なオススメ度ですので、ご承知下さいませ。
  あと中間とか、相対的にとか、小数で上下させます。
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・「泣きの銀次」 宇江佐真理 ☆3.3
誰がお菊を殺したんでぇ。妹の命を奪った下手人を追って、大店の若旦那の地位を捨て岡っ引きとなった「泣きの銀次」。めざす敵は果たして討てるのか?

主人公の造型がヒーローじゃなくて良い。
特に、それが通り名になってしまう程に、死体を見ると激しく号泣してしまうという性質は、その様が眼裏にまざまざと浮かび胸につき、物語に引きこまれる。
続編も読みたい。


・「おまけのこ」 畠中恵 ☆3.9
しゃばけシリーズ第4段。

ちょっと失速か?でもやっぱり面白い。
屏風のぞきを中心にした話や、若だんなの子供の時の話があるけど、私は鳴家視点の話の可愛いさに悶えた。


・「ひとがた流し」 北村薫 ☆4
アナウンサーの千波、作家の牧子、元編集者で写真家の妻となった美々は、高校からの幼なじみ。牧子と美々は離婚を経験、それぞれ一人娘を持ち、一方、千波は朝のニュース番組のメインキャスターに抜擢された矢先、不治の病を宣告される…。
朝日新聞で連載していた小説。

鏡の場面とか病室の場面とかセリフや描写がとても鮮明で、映像にしたら映えるだろうなぁ、なんて思ってたらドラマ化してたのね;
人間関係、特に女同士の友情がリアリティ感じる範囲内で綺麗な理想寄りに描かれていて、なるほどNHK向けだよなぁとも納得したり。
真面目な人程好きなんじゃないかな、30、40代あたりの女性へオススメ、寂しさが染みる良い話です。
後半、千波の恋愛については、好みが分かれそうかな。


・「うそうそ」 畠中恵 ☆4.2
しゃばけシリーズ第5段
若だんな箱根へ行く。

実は仁吉と若だんなでによによしてます。
手代2人がいなくて不安そうな若だんなかーわいーwww
(腐視点故反転)


・「きことわ」 朝吹真理子 ☆2
葉山の高台にある別荘で、幼い日をともに過ごした貴子と永遠子。ある夏、突然断ち切られたふたりの親密な時間が、25年後、別荘の解体を前にして、ふたたび流れはじめる―。
第144回芥川賞受賞。

芥川賞とは割と相性が良い、と勝手に思っていたのだけど、自信がなくなった。
見事なまでの感覚描写で、それが好きな人は大好きだろう、けど私は2人が出会うまでにぐったり疲れた。
まぁ、会ってから文体変えて空気感を一掃させる効果を狙ってわざとぐるぐる書いてた、てのも解ったけど。
私のように感覚描写が苦手な人でも、2人出会うとこ…40ページ前後だったかな、まで辿り着ければ読み切れます、たぶん。
これ、意外と男性の方が好きだったりするんじゃないかなぁ。


・「彼女は長い間猫に話しかけた」 川崎徹 ☆1
1、父の臨終に立ち会う男…「彼女は長い間猫にはなしかけた」
2、白線の終わりを目指す男…「言い忘れたこと」
3、一つのバケツを巡る人々…「水を汲みに行く」
4、目に出合った…「水族館」

合わない本は途中で投げ出すべきだと教えてくれた本。
読むのが苦痛だった本、ぶっちぎりで1位。
最後まで読んだ私が間違ってた。


・「ちんぷんかん」 畠中恵 ☆4.5
しゃばけシリーズ第6段
毎度死にかける若だんな、ついに冥土へ…!?

小紅の話が良かった。
あやかしと人との寿命を考えると、何とも切ない。


・「もう切るわ」 井上荒野 ☆4.4
男と妻と愛人と。

やられた……!まんまと!
作品の紹介とか全く予備知識無しで読んだもんで、見事に混乱てか混合を、時間軸が前後してんのかと思ってたらばそうかそういうことか、あー偶に不思議に思って読み返したりしたんだけど、半分以上勘違いしたまま読んでたよーくっそーちくしょう気持ち良い!
小タイトル最初の「ミルフィーユの日」が鋭くって、一気に引き込んでくれる。
この本、今まで読んだ井上先生の作品の中では一番好きかもしれない。
大人向け恋愛小説。


・「海の仙人」 絲山秋子 ☆4.4
碧い海が美しい敦賀の街。ひっそり暮らす男のもとに神様がやって来た―。「ファンタジーか」「いかにも、俺様はファンタジーだ」「何しに来た」「居候に来た、別に悪さはしない」心やさしい男と女と神様。

絲山先生凄いなぁ、ファンタジーまで書けるのか。ていっても現実の話です。
ひょっこり現れたファンタジーという存在の意味を考えるのが面白い。
その捉え方次第でラストの解釈が大分変わりそう。
先生の作品の中では、「沖で待つ」よりも「袋小路の男」の方が好きって人向けか。
私はどっちも好きだったので、当然この本も好きでしたとも。


・「何もかも憂鬱な夜に」 中村文則 ☆4.3
なぜ控訴しない?施設で育った過去を持つ「僕」は、刑務官として、夫婦を刺殺した二十歳の未決死刑囚・山井を担当していた……。

切ったら血が吹き出しそうな鬱屈と緊張感。
重大犯罪と死刑制度、よりもやはり子供時代の環境の重要性と、そこからの再生が先生が書こうとしているテーマなのではないだろうか。
主役も先生も応援したい。


・「ふがいない僕は空を見た」窪美澄 ☆4.7
これって性欲?でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。
第24回山本周五郎賞受賞
本の雑誌が選ぶ2010年ベスト10 第1位
2011年本屋大賞 第2位
第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞

こーりゃ面白い!
コスプレセックスから軽快に始まり、気が付けば重く深いテーマに入ってる。
私は元塾講師のコンビニの先輩が一番印象に残ったかな。
あ、性描写はあったけど、全然エロさはなかったです。
ちょっとオタクな人や変態な人にオススメ、て思ったけど、完全に普通の人何ていないよねw

偶然だけど、ちょっとテーマが掠ってる本を続けて読んだので、対比が面白かった。
「何もかも憂鬱な~」が真正面からの真っ向勝負なら、「ふがいない~」は不意打ちというか美味しい食事に混ぜて食わせちゃえ的な。
エンターテイメント性で数字に差は出したけど、どっちも良い本だと思う。
オススメし易いのは後者だけど、後引いて残るのは前者かもしれん。


・「風が強く吹いている」 三浦しをん ☆4.8
奇跡のような出会いから、清瀬灰二と蔵原走は無謀にも陸上とかけ離れていた者たちと箱根駅伝に挑む。それぞれの「頂上」めざして…。

くあー読み応えあったー!満足したー!泣き過ぎて頭が痛ぇー!
映画先に観たから、変えてある可能性はあっても、大方のストーリー解ってた訳で、でもそれでも凄い楽しめた!
いいなぁ×2!互いに互いをキラキラしたものとして、キラッキラした目で見てるんだなぁ、いいなぁ!
ってーかハイジさんの異常な格好良さはやっぱ原作そのものか、小出さん凄いよよくこんな難しい人をきっちりらしく演じたよ、セリフが舞台っぽくなるの小出さんの癖かと思ってたけど原作でしたね本当すみませんありがとうございます!
ってーか三浦先生だったそーだったでも青春小説でしたよ!ちゃんと青春小説でしたとも!←
エピローグがちょっこれどこの同人ていう、もう2人の将来はそれしかねぇだろっていう腐的理想へつっぱしってたけどでも大丈夫腐的でなくともそれが確かに2人の理想だから!ご馳走様でした!←
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