淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

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2011’8小説メモ①
[No.1016] 2011-08-29 Mon 14:47
■ 2011’8小説メモ ① ■

※読んだ月ってだけです、出版月ではありません。
__

オススメ目安
☆1 :読まない方が良いヨ。(読んだ時間を返して欲しい)
☆2 :オススメはしないかなぁ。(読まなくても良かったかも)
☆3 :読んでも損にはならないと思う。(可。普通に面白かった。)
☆4 :読んでみません?(良。良作。読んで良かったー!)
☆5 :お願い読んで!!!(優。本との出合いに感謝!読まないでいたら損だった)

※ あくまで私的なオススメ度ですので、ご承知下さいませ。
  あと中間とか、相対的にとか、小数で上下させます。
__


・「うたうひと」 小路幸也 ☆1.9
1「クランプトンの涙」、2「左側のボーカル」、3「唇に愛を」、4「バラードを」、5「笑うライオン」、6「その夜に歌う」、7「明日を笑え」
音楽系短編連作。

小説というよりは、テレビドラマの脚本のような印象。
どれもストーリーが、良く言えば定番、悪く言えばありきたりで、特に1は読んで3ページでオチが解る。
それでいて文章が巧いという訳でも独特という訳でもなく、短編であることを加味しても人物が薄く、読みながら何をどう楽めば良いのか解らず困った。
救いは、どの話も読後感が暖かく優しいこと。…単に甘いだけと紙一重な感はあるけど。
ベッタベタでもスピード感で楽しめた6はまだ良かったかな。
……ん、アマゾンのレビュー読んでみたら、どうも登場人物たちのモデルを脳内補完できる人には楽しめるらしい?
原作知らないで同人誌読んじゃったみたいなもんか?;;


・「もう二度と食べたくないあまいもの」 井上荒野 ☆3.4
1「幽霊」、2「手紙」、3「奥さん」、4「自伝」、5「犬」、6「金」、7「朗読会」、8「オークション」、9「裸婦」、10「古本」
以上10編、恋の終わりを描いた短編集。

凄く読みやすい文章で、1話だけ読んで寝ようって手にとったのに、あれよあれよと一冊読み終えてしまった。
2だけ大学生もので、他は良い歳した大人の話、だからって=にしちゃダメかもだけど、甘酸っぱさや爽やかさ、何てものよりも、諦観やしんみりとした寂しさのあるものばかりで、胸の内での大きな感情の動きと小さな行動という不均衡な描写がリアルで良かった。
恋の終わりばかりなのに決して読後真っ暗な気持ちばかりにならないのも良い、けどさすがに10編集まっただけあって、本の題名の通りの気持ちになる……んだから良いのか、そうか狙い通りってことか、凄いな!
敢えて上げるなら3、5、10が好きだった。


・「七つの海を照らす星」 七海迦南 ☆4.4
様々な事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。
ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた…。
小パート解決から最後にまとめるタイプの日常ミステリ。第18回鮎川哲也賞受賞。

重く暗くなりがちな舞台と、明るく気持ちの良い主人公、フットワーク軽い文章に、一般にあまり知られていないだろう福祉業界の説明量とが、絶妙なバランスで存在していて、これは凄く丁寧に真摯に作ったんじゃないかな、という好印象を受けた。
まだそのことを掴む前、初めの方の地の文に‘ぷんぷん'て書いてあって10秒くらい口開けて固まったことと、まとめ部分はちょっと強引てか遣り過ぎかなぁて思った、ことくらいしか難癖つけられない。
泣けて、心が温かくなって、頑張ろうって思えた。
ミステリ要素重視な人には物足りないだろうけど、他の要素で読ませます。この本はオススメしたい。


・「しゃばけ」 畠中恵 ☆4.6
江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事件が続き、一太郎は家族同様の妖怪と解決に乗り出すことに…。
愉快で不思議な大江戸人情推理帖。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞。

何でもっと早くに読まなかったんだよ私の馬鹿ぁあああああ!!!
これは凄い。これでもかと面白い、のに泣かせやがる!
漫画の「ぬらりひょんの孫」と京極夏彦先生の「巷説百物語」を足して割った感じか?
コミカルさは漫画の「百鬼夜行抄」に近いかな。
まぁとにかく、妖怪物好きだったら読まないと絶対に損です。私は今まで損してた!
登場人物、特に主人公の若だんなが魅力的で、親に手代にと身近なキャラが揃って甘やかしてるんだけど、それが何っとも羨ましい、私も若だんなを甘やかしたい!←
それか鳴家になって若だんなに撫でてもらって、仁吉に睨まれたry
続き、続きを読…む前に他の本いっとこう、ちくしょう頭の中が若だんなで一杯だ、なんてこった;


・「土井徹先生の診療事件簿」 五十嵐貴久 ☆3
殉職警官を父に持つ令子は、24歳にして南武蔵野署の副署長。毎日暇にしていたら、「命を狙われている」と訴えるノイローゼ気味の偏屈な老人を訪ねることに。そこで出会った獣医の土井徹先生とその孫・桃子、オカシなトリオで事件解決。

さらっと気軽に読めるし普通に面白いのだけど、ちょっと軽過ぎというか甘いというか。
珍しい動物系ミステリも、流石に事件全てがそうだとマンネリだし。
うん、まぁ普通に面白いんだけど。もっと面白くなりそうなのに勿体ない感がある。


・「へび女房」 蜂谷涼 ☆4.5
1、明治維新でふぬけになった元旗本の亭主を見限り、自らテキ屋の世界に飛び込んだ女房…「へび女房」、他3篇。
幕末から明治にかけてが舞台の、女性主人公の連作時代小説。

1が凄い。短編でどうしてここまで人間を描けるんだろう。
読んでる間中彼女の感情に自分をもっていかれて、無意識に手が震え、唇を噛み、涙が溢れた。
とある行為から人生を振り返る箇所があるのだけど、その見事さといったら!
そうかそうだ人生って家族ってそういうものだ、と全く日常の当たり前のことなのに目の覚める心地がした。
これを良作と言わずして何を良作と言えば良いのか。
とりあえず私は、読み終えて直ぐに「1話目だけで良いから読んで」と母親へ押し付けた。
他も悪くはないけど、1が凄過ぎる。1だけなら☆4.8と書きたい。
ストーリーの意外性を重視、という人を除いて、女性にオススメです。


・「ぬしさまへ」 畠中恵 ☆4.7
「しゃばけ」シリーズ2冊目。

読みながら、手代二人の兄や馬鹿っぷりに何度も「駄目だコイツ!」とバシバシ机を叩き、若だんなの膝に群がる家鳴たちの可愛らしさに何度もベッドの上をのたうち回った。
嗚呼ちくしょう面白い!!!
本当、何で読んでなかったんだ、私の馬鹿!
続き!続き…ってこのペースで既刊読み終えちゃったら若だんな欠乏症になりそうだ、自重せねば;


・「あなたにもできる悪いこと」 平安寿子 ☆2
「あくまで内密に、そいつに天誅を加えたいわけですね」自称トラブル・コーディネーター、桧垣と里奈。人に言えない訳ありのお金、ちょこっと頂戴いたします。

文章読みやすくてサクサク読めるし、洒落た言い廻しが効いて頭に残る言葉もある。
のだけれど、内容も題名の通りなのだけれど、いかんせん小悪党に過ぎるというか、否別に大それた犯罪モノを読みたいって訳じゃないんだけど、何だろうなぁ、ここが見せ場的な、胸をスッとさせる痛快シーンとして書かれてるであろう箇所が尽く合わなくてスッキリしない。
うん、私と価値観が合わないってだけで、きっと好きな人結構いるだろこれ。
基本的にピカレスク好きで辛口評価になってるとこもあるだろうし。


・「袋小路の男」 絲山秋子 ☆4
1、「袋小路の男」…私と袋小路の男。一人称。(川端康成文学賞)
2、「小田切孝の言い分」…1を二人の視点で
3、「アーリオ オーリオ」…姪との交友

この記事のUPが遅れたのはこの1冊の為。
正直、1と2を誰にどう薦めれば良いのか全くわからない;
密度低いんだけど軽いとは違う、余計なもの削りきったサラサラ×2流して読めるような文章で一気読みできたし、内容も私にとっては、普通の、至極普通の恋愛小説に思えて、それでいて、今までに読んだ恋愛小説で似た印象を受けた恋愛小説を読んだことはなかったとも思って、そして読後何だか幸せなような優しいような気持ちになった、つまり割と好きだったのだけど、何がどうってのが上手く説明できない上、人によって全然違う感想というか解釈にこれでもかと分かれるに違いないという確信がある。
二人の関係が主題なのだけど、その二人の関係をどう見るかは完全に読者に放られているというか。
興味を持った方は、是非アマゾンのレビューあたり飛んで読んでみて下さい、頭抱える意味がわかって頂けると思う。
逆に3は、誰にでも薦められる気がする。


・「ねこのばば」 畠中恵 ☆4.7
しゃばけシリーズ第3段。

もう駄目だ。私が駄目だ。手代2人に負けないくらい駄目だ。
めろっめろ。
本当、何でもっと早くに読ry
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映画
[No.1000] 2011-08-17 Wed 22:27
夏コミ参戦された方はお疲れ様でした。
私ぁ最近夏バテなのか体調悪くていきなり倒れたりしてたんで、棄権です。
ぐったり家の中で映画&小説三昧。
まぁそれでも1度寝込んだけれど;

そんな訳で以下、いくつか映画感想。


・「アラトリステ」 ☆2.4
17世紀落ち目のスペイン、傭兵アラトリステの……生き様、かな。
とりあえず、映像美が凄い。
自然の景色よりも、建物と衣装の美しさ、俳優の立ち位置やカメラアングルで魅せる感じで、絵画を切り取ったようなシーンがたくさん、というか、どこで切っても絵になっちゃうというか。
でも、ここが見せ場だぜー!みたいな焦点の絞りがびっくりする程なくて、出来事のまとめもなくオチもなく、淡々と、しかも結構一気に話跳んで進んだりするので、……で、つまりはっきり言ってしまえば、エンターテイメント性が低く人にオススメできない;;
戦争のシーンは緊張感はあるけれどアクション系のような派手さはないし、剣劇シーンも見事なんだけど以下同文。
両親は隣で寝てしまった。
基本的に効果音はあっても音楽が全然入ってなかったから、それで余計に淡々と感じられたのかな。
ただ、そのことが活きて、主人公とヒロインのラストシーンで音楽が入った時は、音が流れた瞬間に涙が流れた。
「そのシーンの為にずっと音楽入れないようにしてたんだ、ココがメインで最大の見せ場なんだ」、と言われたら「じゃーしゃーねぇな!」と言っちゃうかもな程、作り込んでなさを感じさせるが故の、主人公のありのままの気持ちと言葉で魅せるような、切ない素敵なシーンでした。


・「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」 ☆2.1
タイトルそのままの内容。
普通に面白かったです。
でも映画館行かないでレンタルにしといて良かったな、て思った。
まぁ田辺さん好きだから、素敵な田辺さんを観るために借りたんですよええ。はは。


「パーマネント野ばら」 ☆4.7
何だよこれ。
何だよこれぇええええええ!!!?
良かった。凄い良かった。
あ、私原作は読んでないです。
だからこそまんまと……頭の後ろでざわつく予感程度で。
あああもう本当良かった。余韻が堪らない!
出演者が菅野美穂に小池栄子て並んでたから、きっとハズレはないと思ってたけど、それどころじゃなかった。
彼女等の演技力に上限はないのか。恐ろしい。
うーん、何か書くとネタばれになりそうで、この映画はそれだけはしたら駄目と思うから……書かない!
観て!もー観て!レンタル100円で観ちゃってすみませんでしたぁぁあ!て謝りたい気分です今!
だからせめて人に薦める!20代30代の女性にオススメ!


・「カメレオン」 ☆3
お偉いさんの見てはいけないものを見ちゃいました系。
中二病だって良いじゃない、面白けりゃ。て思った。
結構無理のある設定を、ベテランの俳優様方がこれでもかと力を発揮して底上げ肉付け、説得力を補強して、アクション・カーアクションを頑張ってレベルアップさせたかな、ていう。
でも後半はさすがに無理があり過ぎるとういか、実はそっちメインのハードボイルド目指したかったんだとしたら、藤原竜也は……合わないというか勿体なかったというか……何ぞと不思議に思って調べてみたら、ずっと昔に作られた脚本だとか……???
80年代ハードボイルドとか好きなら後半興奮できるかも?だけど逆に前半つまらないって思うかもだなぁ;


・「風が強く吹いている」 ☆4.5
駅伝の箱根を目指すほぼ素人集団、青春モノ。
観た友達が「ただのBLだった」というとんでもない感想を伝えてくれたので、観るしかないと思って観た。
確かにBLっぽかったけど、それ抜きにしても良かった。面白い。
こういう映画の場合、ストーリーの甘さどうこうと言うのは無粋ってもんだろうし。
ちょいちょい笑いを入れてくれるのでテンポ良くって、シリアスなシーンを疲れず緊張を維持して観れたし。
各登場人物の内面を、焦点合わせたエピソードより、さりげない会話や動作等で自然と出すのが巧いと思う。
ユキがニコチャンに小言を言いながら、ご飯を手渡してたりするとことか、映画の演出なのか原作である描写なのか気になるところ。
小出恵介さん演じる灰二のえらい恰好良さも、そういう演技なのか原作がそうなのか気になる。
……原作読もう。


・「必死剣鳥刺し」 ☆4.2
藤沢周平先生原作、主演豊川悦司、で面白くなかったら可笑しいわな。
チャンバラシーン、秘剣シーンの緊張感・迫力が凄い!
タイトルで見当つくとは思いますが、バッドエンド嫌いな人にはオススメしないですよ;


・「化粧師」 ☆4
石ノ森章太郎先生原作。
時代とか結構変わってるけど、面白かった。
焦点絞ってない感はあったし、割と淡々と進むから、起伏のあるストーリー好む人には物足りないだろうけど、雰囲気良かったし好きでした。
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2011’7月小説メモ②
[No.1012] 2011-08-01 Mon 22:30
■ 2011’7小説メモ② ■

__

※ ☆について、今更ではありますが、ざっくり基準だけ決めときます。
  あくまで私的なオススメ度ですので、ご承知下さいませ。

☆1 :読まない方が良いヨ。(読んだ時間を返して欲しい)
☆2 :オススメはしないかなぁ。(読まなくても良かったかも)
☆3 :読んでも損にはならないと思う。(可。普通に面白かった。)
☆4 :読んでみません?(良。良作。読んで良かったー!)
☆5 :お願い読んで!!!(優。本との出合いに感謝!!!)

あと中間とか、相対的にとか、小数で上下させます。

基本的に☆2より大きい数字ならプラス評価て思って下さい。
私は凄い好きだけど薦め難い!とか、嫌いだけど一般的には好かれそう!とかは☆3前後になるかと。
それと、これは!という作品に出合った時の為、これからは☆5は簡単に出さないようにします。

__


・「スモールトーク」 絲山秋子 ☆3.3
自動車雑誌に連載された、車を題材にした連続短編とエッセイ、徳大寺有恒氏との対談収録。

車好きじゃないとわからない用語が多々あり、興味のない人は引くかもしれない。
でも主人公ユーコ(画家、外車好き)と元彼カマキリ(次々車を替えてユーコの元へ訪れる)の会話のテンポや、さっくりばっさりな車評が面白くてサクサク読める。
短編とエッセイが交互に入ってる形態になっている為、文体の違いに対応する為読む速度を調整する必要があって、それが頭の休憩と整頓になってくれるのも良い感じ。
読み終えてから数日、見慣れない車をまじまじ見たりしました。


・「ニート」 絲山秋子 ☆3
1「ニート」…ニートにお金を渡す
2「ベル・エポック」…引っ越しの手伝い
3「2+1」…1のニートを居候させる
4「へたれ」…へたれな男
5「愛なんかいらねー」…唐突にスカトロ

1と3はつながってる。他は別の話。
コレちょっと感想も説明も困るなぁ。嫌いではないんだけど。
1と3は、ニート、という言葉でイメージされるだろう話ではないです。
説明できない感覚と関係を感じ取ってもらおうって書いた感じな。うーん;
2はちょっと好きだった。他は普通かな。
スカは読む分には割と好きなんだけど、5はあんまり。
話のメインがスカて訳じゃないんだけど、結構描写多いんで、苦手な人は御注意下さい。


・「夜市」 恒川光太郎 ☆4.5
1、妖怪たちがさまざまな品物を売る不思議な市場。小学生の頃売った弟を買い戻す為、大学生になった兄は…「夜市」(第12回日本ホラー小説大賞)
2、幼き頃、迷子になった時に教えてもらった不思議な道、子供心に人に言ってはいけないと思っていたが…「風の小道」

漫画の「百鬼夜行抄」や「雨柳堂夢咄」あたりが好きな人なら好きだと思う。
その一歩手前、あちらとこちらの境界線をちょっと踏み越えた雰囲気。
ただ、そのあたりまで読んでる人だと1は結末を予測できちゃったりするかも、私は予測ついてしまった;
それでも、雰囲気のある情景描写もストーリーも素敵で、是非夏に読んで頂きたい。
私は1<2で好きだったかな。でもどっちも良いです。


・「万引き恋愛記」 ねじめ正一 ☆2.9
万引き被害に苦しめられる商店街、民芸店の主人とアルバイトは、犯人候補の帽子の女を今日も見つめる…。

夕方やってる人情系のミステリドラマとかが好きな人なら好きなんじゃないかな。
主人公の性格が程よく正義感あり狡さありナルシズムありで、男性や年配の女性向かと。
私には微妙に、主人公が癇に障ったり、全体的に煮え切らなかったりですっきりしなかったけど。
商店街の描写は面白かった。


・「義弟」 永井するみ ☆4.1
義理の姉弟、彩と克己は成人し離れて暮らす今も仲が良い。ある日、彩の不倫相手が彼女の職場で急死する。助けを求められた克己は、彼女を守るため遺体の処理をするのだが……。

切ないなぁ。
最近恋愛小説は私的に外れが多かったから、素直に応援したくなる二人に会えて嬉しかった。
弟の内面をどう見るかが印象値を左右する鍵だと思うので、義理の姉弟へのタブー感が平気か云々より、親からの支配やモラハラといったものの辛さや、解放の難しさを理解又は共感できそうな人に薦めたいかな。
すれ違う感情がきちんと別人で男と女で良かったと思う。
私は好きだった。


・怪談集「花月夜綺譚」 ☆4
1、 「溺死者の薔薇園」 岩井志麻子
2、 「一千一秒殺人事件」 恩田陸
3、 「一節切」 花衣沙久羅
4、 「左右衛門」 加門七海
5、 「紅差し太夫」 島村洋子
6、 「婆娑羅」 霜島ケイ
7、 「ついてくる」 藤水名子
8、 「水神」 藤木稟
9、 「長屋の幽霊」 森奈津子
10、「長虫」 山崎洋子

夏はやっぱ怪談ですね。
耽美に魅せるのが1、5。
ちょっとコミカルで面白いのが2、6、9。
他は定番な感じかな。涼しくなったのは4と8かしら。
背筋の凍るほど怖い、なんて話はないけれど、どれも雰囲気あるし楽しめます。
6と9キャラが立ってて好きだったなぁ、シリーズ化して一冊別に出して欲しい感じ。


・「カソウスキの行方」 津村記久子 ☆4.8
1、カソウスキ=仮想好き。倉庫勤務に左遷されたイリエは、日々のモチベーションを上げようと同僚の森川を‘好きになった’ことにしてみる…「カソウスキの行方」(第138回芥川賞候補)
2、気になった男性が結婚したこと知り、相手女性のブログを読むようになる…「Everyday I Write A Book」
3、遅刻の多い彼女の不義理ポイントをカウントし、相殺を試みる…「花婿のハムラビ法典」

1の主人公が27歳独身彼氏無し事務系正社員、というクリティカルヒット、だからといってリアリティないと逆にイラッときそうなもんだけれど、そのあたり全く問題ない、というか人物の描写造形が自然で上手く、設定通りにストンと入り過ぎて驚く程。
私の同級生や先輩後輩、働くオヒトリサマ女性にオススメです。

この本で3冊目だけれど、津村先生の作品は、とにかく働く女性に優しいんだな。
別に応援だ鼓舞だ称賛だのっていういらんこと一切なしに、ただそのまま描写して無造作に隣へ座るような感じが良い。
ちょうど読むのに良い年齢なようだし、早めに著書全部読もうと思います。


・「水の時計」 初野晴 ☆4.4
医学的に脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。生きることも死ぬこともできなくなった彼女が望んだのは、自らの臓器を、移植を必要としている人々に分け与えることだった―。
「幸せの王子」の寓話ミステリ。第22回横溝正史ミステリ大賞。

単行本の装丁が雰囲気あってとても素敵だ、けれど綺麗過ぎる気がして手にとっては戻していた、私がバカだった。
最後に載っている選評に書いてある通り、難点を上げだすと、結構ストーリー甘いところがあるし、人物の、特に主人公の内面が薄く、下手したら中2て言われちゃうのかもなギリギリなチートっぷりがあったりとか色々キリはないのだけど、それでも良点が相殺されない。
文章の勢いとストーリーに引き込まれてガンガン読めて、泣いた。
無理だけど、高校生卒業までに読みたい感じだったなぁ、自分と他人の境界がまだちゃんと引けてない頃に読めば、主人公の薄さがカバーできた気がする。


・「赤い竪琴」 津原泰水 ☆3.5
三十歳を過ぎ、仕事への希望も見出せぬまま、東京で一人虚無的な日々を過ごすデザイナーの暁子は、祖母の遺品をきっかけに耿介という男と知り合う……。

あれ?え?コレもしかして恋愛小説……だった!吃驚!
思い返してみるとストーリーの主軸もラストもきっちり恋愛小説だった、けど、さらりさらり美しい文章そのものの印象の方が強くて、うっかり恋愛小説て気づかない感じ。
先生の怪奇小説が好きでコレ読むか迷ってる方いたら、全く問題ないです普段の文章です、読んで下さい。
現代の普通の場所を描写してるのに何でこんなに幻想的なんだろう。解せんわー。
てな感じに、私は文章そのものが好きで読んだ口で、特に遺品(詩人の手記)のページが美しくて朗読して楽しんだりしてましたが、恋愛小説として楽しみたいならば、30代半ばあたりからの女性に沁みるのではないかと思われ。
あと、当然ですが、怪奇小説の背筋の冷える感覚やインパクトはないで、そっちは期待したらダメです。


・「すいかの匂い」 江國香織 ☆4
1「すいかの匂い」、2「蕗子さん」、3「水の輪」、4「海辺の町」、5「弟」、6「あげは蝶」、7「焼却炉」、8「ジャミパン」、9「薔薇のアーチ」、10「はるかちゃん」、11「影」、
以上11篇、11人の少女の夏物語連作短篇集。

江國先生て恋愛ものしか読んだことなかったから、目から鱗だった。
恋愛ものよりずっと面白じゃないか!←失礼?
無難でも印象深い思い出たちが、良い具合に心を引っ掻いて揺さぶってくれる。
女性なら何処か何か必ず、それで蘇る記憶があったり、共感が出来るのではないだろうか。
難点は、少女の内面描写の書き分けが全然ないから、家族設定等読み飛ばすだけで主人公全員同じ子に思えちゃうこと。
まぁそれでも特に問題はないんだけど。
私は3の、蝉の声にまつわるエピソードが好きだったかな。


・「鬼の跫音」 道尾秀介 ☆4.5
1「鈴虫」、2「ケモノ」、3「よいぎつね」
4「箱詰めの文字」、5「冬の鬼」、6「悪意の顔」
ホラー且つミステリの短編集。

下手な説明文つけるとネタばれになる気がするんで何も書かない。
先生の作品はハズレがないなぁ、面白かった。
でも先生の作品の中にもっと好みで面白いと思うものが沢山ある、が故にちょっと物足りなく思った、何て言うとさすがに贅沢か;


・「しずく」 西加奈子 ☆3.7
1、「ランドセル」…幼馴染2人
2、「灰皿」…老婦人と若い小説家
3、「木蓮」…30代女性と恋人の娘
4、「影」…旅行者と島の少女
5、「しずく」…飼い主が結婚して共に住むようになった2匹の猫
6、「シャワーキャップ」…母と娘
それぞれ女同士を描く短編集。

感覚的な表現が多い一人称で、苦手なタイプの文章だったのだけど、ストーリーが良くて気が付いたらきっちり引き込まれて読んでた。
文章も好みの人なら堪らないんじゃないかなぁ、小川洋子先生の粘着性を引いてもちょっとざっくりした感じか?
一番好きだったのは5で、最初なんじゃこりゃってザーッと読み飛ばしてたのに、ラスト涙が出た。


・「タンノイのエジンバラ」 長嶋有 ☆3.8
1、「タンノイのエジンバラ」…団地住まいの失業者と、世話を押し付けられた隣家の女の子
2、「夜のあぐら」…久しぶりに会う3人姉弟と病気の父親、義理の母親
3、「バルセロナの印象」…姉と妻と3人旅行
4、「三十歳」…30歳パチンコ屋アルバイトの女性

淡々とした日常に、ほんのりとした感情の揺らぎ。良かった。
エンターテイメント性のない、ローテーションな純文学系好きな方向け。
けど、もう5年は経った頃が読み時だったかなぁ。
私は4が一番好きだった。
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