淡味行路 小説、映画、アニメ等の感想覚書。偶に日記。

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2011’6月小説メモ②
[No.1006] 2011-06-30 Thu 12:33
■ 2011’6 小説メモ ② ■

※発売月ではなく読んだ月ってだけです。

・「熊の敷石」 堀江敏幸  ★★★★
フランス滞在中に旧友を訪ねる1表題作の他に、2「砂売りが通る」3「城址にて」という二つの短編が入ってる。
内容はどれも‘これエッセイ?’て確認したくなるくらいサラリと起きたことを書き連ねてる感じで、読み終えた翌朝には‘どんな話だったっけ?’て考えるくらい、なのだ け ど !
句点までの読点が多い、のらりくらり遠回りでたらたらっと長い独特な文章が何とも良い味わいで、口語的と言ったら良いのか単純に文章力が凄過ぎると称えたら良いのか、それとも実はフランス文法で書くとこうなるのか、とにかく私にはストライクで、脳内で朗読するように抑揚をつけ、呼吸する為の間を開け読み進めていたらばもう、リズムの心地良さで、素面だってのにテンションが上がり、3が一番明るい話で好きだったのだけど、読み終わってから直ぐにページをめくり直し、特に気に入ったあたり何ページか本当に声を出して朗読してしまった。な ん て こ っ た !
他の作品探して、お酒飲みたくなった時に替わりとして読もうと思います。
ん、でも合わない人は疲れるだけかも;

・「かげろう」 藤堂志津子 ★★
全て40代の女性が主人公で、1表題作、2「あらくれ」、3「みちゆき」の3編入ってる。
1が思いがけず苦手な母子小説で、下手なホラーより怖いは気持ち悪いは、ラストシーンの彼の言葉に心から同意且つ安堵しました。‘だよねえ!’って。
実は心暖まる話として書かれてたらどうしようかと思った、あー怖かった!
2は母子小説下地に自己を見る感じかな、1よりは好き。
3は……自己愛?‘あそー’て思って終わった。
登場人物の性格を‘こういう人’って文中に設定説明みたくされると読む気が失せるのは私だけじゃないと思いたい。

・「冷めない紅茶」 小川洋子 ★
1表題作と2「ダイヴィング・プール」の2作、同じくらいの長さで入ってる。
どっちもだけど、特に2の方が世界が自分で全て完結してる女の話で気持ち悪かった。
地の文も会話文もポエムみたいな主観表現ばかりで、好きな人は好きなのかもしれないけど、私はぐったり。

・「土の中の子供」 中村文則 ★★★★
1表題作と2「蜘蛛の声」という短編が入ってる。
1は泣いた。泣かされた。
まさか題名が比喩とかじゃなくそのものだなんて思わないじゃない!?(←ネタばれ反転)
始めちょっと合わないかと思ったけど、最後までちゃんと読んで良かった。
ラスト引き込む力が凄い。良い話だ。
2は、ダメだ×2と思いながらも最初の部分、何てーか、誘惑?に絡みとられるとこちょっと共感してしまった、のだけど喜びを得るポイントが全然違かったので一安心(?)
読後感は1の方が好きだけど、2も勢いがあって好き。

・「セント・メリーのリボン」 稲見一良 ★★★★
1、逃げる男が出会った「焚火」
2、カメラマンの通った「花見川の要塞」
3、パイロットが挑む「麦畑のミッション」
4、ポーターが決断する「終着駅」
5、犬探し専門の探偵が贈る「セント・メリーのリボン」(表題作)
の五編、男性の方が好きなんじゃないかな、ハードボイルド好きなら楽しめると思います。
でも、そう思って父親へ薦めたらあんまりツボには入らなかったという…あっれー??
どれも映画の1シーンのような情景が浮かんで、順番をつけるなら5>3>1>4>2かな、好きでした。

・「イッツ・オンリー・トーク」 絲山秋子 ★★★
1表題作と2「第七障害」が入ってる。
1の痴漢の存在感が異常で素敵で、もう友達なっちまえよ!とか思ったり、でもそうしたら絶対居心地の良い関係は崩れるよなぁとも思ったり。
ただ、別に友達ってなりましょうねって言ってなるもんでもないし性関係の介在があることから、敢えてそうではないのだと線引きをする必要があるのかどうかとか云々。
まぁ、地の文からして好みなんだなって再確認出来たので、また先生の他の本探して読もうと思います。

・「明日の静かなる時」 北方謙三 ★★
探偵の趣味+仕事の話。
今まで先生の歴史物は読めてたし楽しめてもいたのだが、そうか歴史物だったからなのか、と嫌な発見をしてしまった。
男らしさ信者の方へはオススメ。
私は別にそういうの極端に苦手とかいう訳じゃないと思うのだけど、ツボに入ればメロメロになることだってあるのだけど、どうもこの話の主人公のナルシズムにはついていけなかった、のに加えて、真理子に対しての発言に謝罪なしだったのがどうしても引っかかって不愉快でダメだった。

・「猛スピードで母は」 長嶋有 ★★★★★
1、母親が家出をしていた、小学4年生の夏休みの生活を振り返る 「サイドカーに犬」
2、小学5年生の主人公視点、母との日々「猛スピードで母は」
どちらもだけど、特に2が余計なものを削った、主人公視点なのだけど感情の入らない三人称で読みやすく、好きなタイプの文章だった。
全体的にどことなく物悲しさが漂うような印象もあったのだけど、ラストシーンが爽快で、読後感も良い。
今年読んだ、親子を描写してる話の中ではたぶん一番好き。
こういうの学校の教科書に載ったら嬉しいなぁ。
やっぱり純文学っていいなぁ、と思わせてもらいました。

・「愛妻日記」 重松清 ★★
1「ホワイトルーム」…AVでお勉強
2「童心」…実家へ帰ったらはじけました
3「愛妻日記」…手錠から始まる愉快な日々 
4「煙が目にしみる」…トラウマ克服
5「饗宴」…若さ崇拝と玩具万歳と公開願望
6「ソースの小壜」…輪姦と悪癖
て感じの、夫婦テーマの性愛小説集。
他との比較が出来ないから性愛描写については何とも;エロくはなかったと思うけど。
あ、重松先生はパンスト大好きなのかなって思いました←
話としては6だけ、人物像が見えて面白いと思えた箇所があったからまぁ良いかなと。
他は、3とか普通に病院つれてけやって思っちゃったしなぁ……うーん、こーゆーのはわからん;
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2011年 読了リスト
[No.1009] 2011-06-27 Mon 12:25
2011’5月~12月、8ヶ月間。

※作家名に続き、作品名/50音順、敬称略


有川浩
「レインツリーの国」

絲山秋子
「イッツ・オンリー・トーク」 「沖で待つ」 「ラジ&ピース」

稲見一良
「セント・メリーのリボン」

小川一水 
「青い星まで飛んで行け」 「天冥の標Ⅳ 機械仕掛けの子息たち」 「妙なる技の乙女たち」

小川洋子
「冷めない紅茶」

茅田砂胡
「コーラル城の平穏な日々 デルフィニア戦記外伝2」

北方謙三
「明日の静かなる時」

重松清
「愛妻日記」

島本理生
「あなたの呼吸が止まるまで」

唯川恵
「今夜誰のとなりで眠る」

津村記久子
「アレグリアとは仕事はできない」

藤堂志津子
「かげろう」

長嶋有
「猛スピードで母は」

貫井徳郎
「明日の空」

中村文則
「土の中の子供」

乃南アサ
「二十四時間」「嗤う闇」

古川日出男
「ベルカ、吠えないのか?」

堀江敏幸
「熊の敷石」

道尾秀介
「光媒の花」

森博嗣
「銀河不動産の超越」
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2011’6月小説メモ①
[No.1002] 2011-06-13 Mon 23:46
■ 2011’6 小説メモ ① ■

発売月ではなく読んだ月ってだけです。
※★の数は独断と偏見+気分と好みによるオススメ度。

・「あなたの呼吸が止まるまで」 島本理生 ★★
舞踏家の父と二人暮らしをしている12歳の女の子の話。
読み易かったし結構面白かった、けど、帯の説明文ネタばれ、ダメじゃね?
その時がいつ来るのか、なんて考えないで読みたかった。
実際、その部分やそれに対する行動より、それ以前の主人公の目で見た人々の描写で読ませてると思うし。
子供と大人の境界を、書きたいのか書きたくないのか作者の意図が解り難いのが、何とも妙な印象として残る理由な気が……や、あんま書くとネタばれになりそうだから止めとこう。
読後直ぐの不可解さ心地悪さから考えさせることがが狙いだとすれば大成功だと思うし、そこが魅力だとも思います。

・「明日の空」 貫井徳郎  ★
女学生が主人公、カテゴリはミステリ。……うーん、ギリギリで普通、かな。
ミステリ要素捨ててそのまま青春小説にでもしちゃった方が良かったような、それでも物足りないような。
読み易いっちゃ読み易いんだけど、これたぶんちょっとしたら忘ry

・「アレグリアとは仕事はできない」 津村記久子 ★★★
1表題作の他に、2「地下鉄の叙事詩」て話が入ってる。
1は、妙に笑えもするし悔しくもなるし寂しくもなったけど、でもラストほろりとする、優しい話だった。
私、この話の受け取り手として、凄く良い立場で読んだと思う。
仕事でリースの複合機を使い、ちょっと面倒なコピーをとったりする女性事務員にオススメです。
2の方は、出だしの怒りの感情描写がちょっとくどくて疲れるけど、でもやっぱりちょっと、優しい話。
どちらもその優しさが読後感の良さになって好みだったから、他の作品も探して読んでみようと思いました。

・「光媒の花」 道尾秀介 ★★★★★
1「隠れ鬼」 2「虫送り」 3「冬の蝶」 4「春の蝶」 5「風媒花」 6「遠い光」
以上6章による連作偶像劇。
良かった。文句なしに面白かった。読後感も良い。
1でこれでもかと情景が浮かんで引きこまれて、2で堪らない気持ちになって、3がいつまでも後を引いて、4でほんのり癒されて、5で頑張ろうって気持ちになって、そうして6で、……!
私が連作って形式が好きだってのもあるかもだけど、それぞれの話のリンクに触れる度に感動した。
がっつりミステリ寄りの話程のインパクトがなくとも、人に薦めるにはバランスが良い本だと思う。
それと、先生は仲の良い兄妹(姉弟)の描写が巧すぎると思う。あんま泣かせんで頂きたい。

・「天冥の標Ⅳ 機械仕掛けの子息たち」 小川一水 ★★★
SF。シリーズ第四段。
続き!さぁ続きを!続きを全力で待ってます先生!!!
今回は、これでもかと性愛描写が長く多く、前半読みつつちょろっと、‘シリーズ最初の1巻がコレだったらいくら私的安心の作者買いランキング第一位突っ走ってくれてる小川先生の作品といへども戸惑ったかもしれない’とか思った、一瞬だけね!
だってそれでもやっぱりテンポ良いし勢いあるし他の話との繋がりが解ってきて面白いは続きが楽しみ過ぎるは、何よりコレは本っ当に不思議なのだけど、私、先生の描くセックスってエロスを全く感じないから、不快だったとかいう訳じゃないのよね。
てな訳で続き!続きが読みたいです先生宜しくお願いしますっ!!!

・「コーラル城の平穏な日々 デルフィニア戦記外伝2」 茅田砂胡 ★★★★
こんなん出てるて知らなかったから本屋で見つけて吃驚した;
クラッシュ・ブレイズが微妙なの多くなったからちょっと購入迷ったけど、これはデルフィのファンなら買って大丈夫かと思われ。
ちゃんと外伝て枠の中に入っているし、懐かしのキャラほぼ総出演でさらっと楽しめます。

・「二十四時間」 乃南アサ ★★★
各時間の出来事、24の短編集。
さーて読むぞー!と、最初ガーっと何話か読んじゃって反省した。
そういう読み方をするものじゃなかった。
例えば、夢見が悪くて普段より10分早く起きちゃった時や、仕事のイライラが抜けない時、そういう、大したことじゃないけどほんのちょっと頭の中身を変えたい時に、または毎日寝る前に2・3編づつ、そんな読み方が良いんじゃないかな、と思った。
何しろ24編あるだけあって1編が短く、あっさりあっという間に読み終わる。
でもそれでいて丁寧な日常の1シーンばかりなので、確実に一滴、何か心に落してくれる。良い意味で軽めな本
総合すると、好みからほんのりズレていたのだけど、でも楽しめた。
しばらくしたら忘れるだろうけど、それはそれでまた読んでも良いかな、なんて。

・「ラジ&ピース」 絲山秋子 ★★★★
表題作の女性DJの話と、「うつくすま ふぐすま」という短編が入ってる。
すんごい無造作且つ不意打ちで引き当ててしまった。
わかる×2!をはるかに通り越して、本の中に私がいた。
読みながら何度も途中で目を閉じてうっとり、融けて解けるような心地に浸って、読み終わってから泣いた。
芥陽子さんの装丁が非常に秀逸で、当にこの本の表題作のイメージそのものとなっているので、装丁が琴線に触れるか否かだけで、中身が合うか合わないかの十分な判断基準になると思います。
ちなみに私は、背表紙を一見して引き抜かずにいられなくなり、手に取ったら取ったで、綺麗なようでいて綺麗ではない模様と色遣いから目を、模様や文字に施された凹凸の肌触りから指を、離せなくなって読むまでに至りました。
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